豊橋って何もない―。市民からしばし聞かれる悲観した声。そんな街のいいところを市内外へ発信し、地元を盛り上げようと今年、各世代の女子たちが立ち上がった。PR下手とも言われる豊橋の新たな広報ガールとして奔走している。
●豊橋JJくらぶ
今月、ピンクのチュールスカートに、肩を出したTシャツの奇抜な恰好で「新・豊橋とんとん唄」を踊る熟女5人の動画が静かな話題となった。団体名はJK(女子高生)に対抗してJJ(熟女)で「豊橋JJくらぶ」。市内の活気づくりと同時に他市へ発信するPR隊を目標に結成した。
今年春、整体師で歌手としても活動する越知久美子さん(44) 豊橋市 が声を掛け、豊橋、豊川両市の30~50代の女性5人が集まった。平均年齢43歳、結婚、育児、離婚の経験や、経営者としての顔を持つメンバー。「人生の酸いも甘いも乗り越えた経験値、若い子にも負けないパワーがある」と越知さん。
第1弾として豊橋まつり参加を促す動画を作成、当日は 殿方をひきつれ総おどりに参加した。
今後は福祉施設の慰問や、美のエキスパートとして農業を支える女性らを癒す構想もある。
最終目標は、豊橋を女性が住みやすい街にすること。「いい年して、ばかじゃないって言われてもいいんです。はっちゃけようと思います」と越知さん。合言葉は「熟女でもええじゃないか」。
●豊橋市役所JK広報室
JKたちの発信力に着目した市が募集し集まった市在住または在学の平均年齢16歳の女子高生9人からなるJK広報室。
6月の発足以降、イベントの体験取材、ラジオ出演などをこなし、10~20代前半の若者へ向け、等身大の言葉と流行りの加工を施した写真をSNSにアップしている。
8月、全国の高校生たちが集うサミットに高校1年のまみぃさん(16)ら2人が参加。広報の先輩、福井県鯖江市JK課のJKたちの活躍ぶりを目の当たりにしたまみぃさんは「豊橋をどの世代も同じ方向を向いて盛り上がれる街にしたい」と思いをさらに強くしたという。
満を持した初のイベントとして今月30日、ハロウィーンイベントを開催する。地元農家とコラボレーションした商品を開発し、農業PRも兼ねた大型イベントだ。
主要な情報発信ツールのツイッターのフォロワ ー(約600人)は、大半が大人だ。高校2年のばつさん(16)は「(JKたちに)知名度がない」と話す。イベントを成功させ、JKたちのフォロワー数を増やすことが課題だ。
発足当時「JK」という名称に集まった批判はなんのその。「私たちなりに頑張っている。絶対楽しめるイベントにする」と気合を入れている。
●豊橋応援ガールズ
豊橋は古臭い街、いえ意識して見ると面白い街なんです―。
メンバーは県内に住む会社員や主婦、カフェ経営者ら平均年齢29歳、豊橋ゆかりの女子13人。
結婚を機に豊橋市に移住してきた会社員の富永早咲代表(29)が今年、市制110周年をきっかけに豊橋で頑張る人を応援しようと立ち上げた。
メンバーで市内の会社員鈴木祐佳里さん(29)は生粋の豊橋っ子。ただ、学生時代は地元に関心のない普通の若者だった。就職を機に魅力の発掘作業を開始し、「意識すると面白い街と気が付いた」という。
だが、豊橋愛を胸に入社した会社で社員を対象に行ったアンケートでは、「住むにはいいが、遊ぶ場所はない」と多くの社員が魅力に気が付いてない現状が浮き彫りになった。
まちづくりの先行事例を学びに欧州を訪問し、市内でまちづくりに取り組む人との交流の中で、膨らみ続けた愛を胸に加入した。
知ろうとしなければ魅力が見えてこないのが豊橋の弱点。「ヒト・モノ ・コトとの接点になる」。ガールズの活動を起点に、波紋のようにつながる交流を期待する。
目標は全国への発信。半年間、豊橋について勉強してきたメンバーは今月末、初めて主催イベントを打ち出す。
農業体験と地産地消の食品に舌鼓を打つバーベキューを開催する。
富永さんは「人の温かさに触れもっと豊橋を好きになったし、多くの人に好きになってほしい」と願う。
PC:豊橋まつりのPR動画を撮影する「豊橋JJくらぶ」