今こそローカリズム!

2017/02/06 00:00(公開)
「地方創生」―。安倍内閣の主要政策のキーワードです。地方が特長を活かして振興を図り、持続可能な地域社会を築こうというスローガンで、政府はまち・ひと・しごと創生本部を設置しましたが、地方創生の「哲学」が大切です。

 今年初めの仕事始めや新年会、新春懇親会で飛び交った言葉のいわばベスト3は「トランプ米大統領」「英国のEU離脱」「グローバリズム」ではないでしょうか。いずれも今年の政治・経済の行方を占うカギとなるものです。
 とりわけTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、メキシコ移民やイスラム教徒の排斥など内向きの白人中心主義を訴えて当選したトランプ米大統領は世界の注目点です。欧州ではEUを離脱した英国だけでなくフランスやイタリアなどにも内向き志向は見られます。
 国家や地域を超えて地球全体を一つと捉え、自由貿易や市場主義経済を世界に拡大しようというグローバリズムが後退し、ナショナリズムが前面に出る気配が濃厚になっています。

 「(日本という)東アジアモンスーン地帯で暮らしてきた人々は東アジアモンスーン地帯の自然との関わりのなかで生き、それが基層的思想をつくりだしていったと書いています」
 和辻哲郎の名著『風土』を紹介しながら哲学者の内山節さんが「ローカリズム」について解説しています。
 <ローカリズムとは……自分たちの生きている地域の関係を大事にし、つまり、そこに生きる人間たちとの関係を大事にし、そこの自然との関係を大事にしながら、グローバル化する市場経済に振り回されない生き方をするということです>
 また<ローカリズムというのは、小さい単位の共同体、共同の世界を「われらが世界」としてつくり……世界を変えていく、そういう動きです>と。

 既成政党を批判し、「わが国の忘れられた人々は、もう忘れられることはない」(トランプ氏)と唱えられればポピュリズム(人気取り政治)の土壌ができあがります。反グローバリズムとともにポピュリズムへの流れは民主主義や公正で持続可能な社会が地平線の向こうに退いてしまう懸念があります。
 そうした状況にあって(だからこそ)地域に民主主義を確立させ、真の地方創生を招き寄せる道を歩みたいものです。地方経済を復活させ、さらには地方自治を確立させる動きとしてローカリズムを私たちの基盤にするべきなのではないでしょうか。
 地方が東京一極集中によって置き去りにされることなく、「地域の関係、人や自然との関係」を大切にして、キラリと光る地域にするためにもローカリズムは考え直したい「哲学」だと思うのです。
(代表取締役 本多亮)
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