デカセギの子ども×先生 -ある定時制高校の現場から㊥

2017/04/01 00:01(公開)
「心通わす関係性が力に」

 全国の公立の小・中・高校などに通う外国籍の児童・生徒数は近年約7万人で推移し、そのうち約4割が日本語指導を必要としているという。中でも愛知県は全国で最も多い。
 豊橋市など外国人が多く暮らす自治体からなる「外国人集住都市会議」の調査(2012年)では、公立中学校を卒業した外国籍生徒の約8割が高校へ進学したが、語学力で苦労する生徒も多く、45%が通常授業の理解に課題がある。定時制はそれがより顕著で66%以上にのぼる。
 一方で、小・中学校は義務教育課程(外国籍の児童生徒に就学義務はない)のため、国も日本語支援を施策化してきたが、高校では各自治体にゆだねられているのが現状。
 県内では、高校に通う外国人生徒数は2008(平成20)年度625人に対し、15年度にはおよそ2倍の1184人に増加した。16年度は、日本語支援が必要な生徒(日本人も含む)が約350人いる。
 県教委は各学校の要請に応じて通訳などを行う外国人生徒等教育支援員を派遣するが、日本語指導専門の者を配置するまでには至っていない。
 県立豊橋工業高校定時制では近年、外国籍生徒が増加傾向で、16年度は生徒数約140人のうち2割ほどが外国籍だ。
 もともと中学で基礎学力が十分に備わっていない生徒も多いため、授業は中学の振り返りから丁寧に行う。一方、実習は多くの教員も付き添う。外国籍生徒が機械の使い方や安全への配慮など、つまずきそうになっても、すぐに手を差し伸べることができ、語学力の差が技術習得の差として大きな壁にはならない。
 同校の本多芳隆教頭は「ここで学んだ子たちが日本社会に溶け込み、地域の中で働き、認めてもらうことで共存につながるのでは」と語る。
 豊橋市内で外国籍の子どもたちの学習支援を行う「NPO法人フロンティアとよはし」の河村八千子代表は「校長先生が退学者を減らす努力をしており、現場の先生も子どもたちに寄り添う熱意のある若い人が多い」と取り組みに期待する。
 職業高校ならではの求人の豊富さに加え、小・中学校で「手のかかる子」とされていた生徒たちにとって、心と心が触れ合う関係性が前を向く力になっている。
(飯塚雪)
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