東栄町で今月、「観光まちづくり協会」が発足した。観光案内に従事するのではなく、人材育成に力点を置き、町民たちで出し合ったアイデアを形にして町おこしの手助けをする。また自主事業では「美」をテーマにしたファンデーションづくりや温泉入浴など町を訪れた人向けに体験プログラムを展開していく。
　同町には10年ほど前に役場内に観光協会があった、町内で行われるイベントの調整をするものだったが、職員が兼任するようになり、部署はなくなった。
　観光まちづくり協会は「観光で町を元気に」と立ち上がった。会長は村上孝治町長を、事務局長は夏目昌美・元商工会事務局長が就き、元地域おこし協力隊で町職員だった大岡千紘さん（26）を中心に事業を行っていく。会員は約80人で、町民や在勤者だけでなく関東地方の人もいるという。事務所は同町下田軒山の旧東部小学校内に設けた。
　協会名に「まちづくり」を入れたのは東栄町に愛着を持った人たちで良さを伝えていく狙いがある。景色や遊び、食事などの情報を持ち合わせている町民や在勤者に発信してもらう「観光大使」として期待する。
　事業ではホームページやＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーク・サービス）で情報発信し、町民らによる寄稿も載せていく。
　体験プログラムでは化粧品のファンデーションづくり体験をメインに行っていく。町内にある鉱山で採れるセリサイト（絹雲母）で来訪者に作ってもらう。ほかにも「とうえい温泉」を活用したツアーづくりも考える。
　大岡さんは「まずは住民が主役になるようにしたい。住民たちのやりたいことを実現できるよう支えていきたい」と話している。
（安藤聡）