高かった甲子園常連校の壁
初の4強入りを果たした豊橋中央。ムードメーカーの主将・長峯樹生捕手(3年)を中心に、全国制覇も経験した甲子園常連校を相手に、「いつも通りの野球」を貫いた。悲願の甲子園出場へ、大きなチャンスとなる来年に向けて、下級生たちの活躍も光った。
内外野席が多くの観客で埋まり、優勝候補が相手の一戦でも、中央ナインは動じなかった。
特に、今大会3本塁打と絶好調の長峯は、この日も3打数2安打と気を吐いた。中京大中京のプロ注目右腕・香村から、2回に中前打、4回には右前打を放った。バッテリーとしては初回から失点を重ねたが、スタンドの仲間たちのからかいにも似た声援が耳に届いていた。「いつも通りの試合だと思った。いつも、いじられるんで」。
極め付きは、5回に斉藤が自打球を足に当てたシーン。一塁ベースから見ていた長峯は「斉藤は練習でもいつも自打球を当てていて、いつも通り。自分たちのいつも通りの野球をしようと思った」。最後まで“中央野球”を貫き通した。
100回記念大会となる来夏は東愛知大会となり、県内から2校が甲子園に出場する。東三河勢にとって大きなチャンスだ。この日、高谷裕次郎内野手(2年)、杉田光平外野手(2年)が安打を放ち、彦坂慧一郎内野手(1年)は無難に二塁の守備をこなした。2番手投手の花井直樹投手(2年)は不運もあったが、強力打線に的を絞らせず、新チームに向けて収穫となった。
大会前の恒例行事として、3年生の小中学校時代の恩師に動画でメッセージをもらい、マネジャーを含む13人全員に編集したビデオレターを見せた樋口靖晃監督(45)は「いい選手たちに恵まれて幸せだなと思う」と感謝した。
優しさと厳しさを兼ね備え、選手たちの信頼を得る指導法が、学校に新たな歴史を刻み続けている。「きょうは帰ったら、練習です」。息つく間もなく、新たな挑戦が始まった。
(由本裕貴)
準決勝
中京大中京
21443|14
00011|2
豊橋中央
(5回コールド)
(中)香村、浦野-鈴木遼
(豊)三浦圭、花井、三浦蓮、西脇-長峯
(パロマ瑞穂野球場)
豊橋中央は初回、先発の三浦圭が2本の長打などで2失点。3回には途中から登板した花井も打たれ4失点。4回にも三浦蓮が四球も絡んで失点を重ねた。打線は4回、彦坂のゴロの間に1点を返し、5回にも斉藤の適時打で追い上げたが、ここまでだった。