健常者に混じり「ものづくり大会」で敢闘賞

2017/08/29 00:02(公開)
障害者で初めて入賞した篠さん(左から3人目)を祝福する訓練生や指導員=愛知障害者職業能力開発校で
聴覚障害者の篠さん機械製図で栄誉

 今月3、4日に名古屋市で開かれた「第12回若年者ものづくり競技大会」の機械製図(CAD)で、豊川市一宮町の愛知障害者職業能力開発校CAD設計科に在籍する聴覚障害者の篠孝忠(たかのり)さん(18)が敢闘賞に輝き、28日に同校で伝達式が行われた。大会で障害者が入賞するのは史上初の快挙となった。
 手話通訳の設置を許され、挑んだ大会。パソコンと向き合い、組み立て図を読み取り、頭の中で立体(3D)の形を描き、寸法や加工部位、加工道具などの情報を入力して平面(2D)の部品図に仕立て上げる。3時間半の戦いに「形をイメージするのが難しかったけど、後悔のないように落ち着いてやることができた」と篠さん。金、銀、銅賞に続く堂々の敢闘賞を受賞した。
 生まれつき感音性難聴で、人工内耳がなければほぼ聞こえない。逆境にめげず、同校指導員の前島和雄さん(53)と二人三脚で本番を想定した訓練を積んだ。感極まって涙ぐんだ前島さんは「形状を読み取る空間把握能力はすごい。何より努力をし続ける」とたたえた。
 例年、健常者が主体となる大会だが、昨年初めて同校から障害者が出場。そして今回、篠さんが手にした勲章は、一緒に出場したろうあ者の中澤知弘さん(18)をはじめ、半身まひや発達障害で体が不自由な同校の仲間たちだけでなく、多くの障害者に勇気を与えた。篠さんは「来年も誰か出場して、自分に続いてほしい」と期待した。
(由本裕貴)
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