豊川海軍工廠平和公園が開園

2018/06/10 00:01(公開)
火薬庫の遺構を背に、大林さんの日記を読む小島さん=豊川海軍工廠平和公園で
 米軍の空襲で2500人以上が亡くなった豊川市穂ノ原3の豊川海軍工廠(しょう)跡地に9日、「豊川海軍工廠平和公園」が開園した。記念セレモニーでは、子どもたちによって平和を願う歌や空襲体験者の日記の朗読が行われ、豊川市の新たなランドマークの誕生を祝った。
 かつて工員寄宿舎があった場所に立つ代田小学校の6年生約70人による合唱「いのちの歌」で、セレモニーが開演。代田中学校2年の小島菜々美さん(13)が、同じ13歳で命を落とした動員学徒・大林淑子さんの日記を朗読。爆弾が降り注ぐ恐怖の日々をつづった内容を読み上げ、最後に「私たちと同じ年代の方が亡くなるなんて、本当に戦争はいけないこと。日本だけでなく世界が平和になることを願いたい」と結んだ。
 代田中3年の伊藤秀真さん(14)は、同じ14歳の夏に被爆した元養成工員・森田和夫さん(87)の日記を担当。罰直を受けた工廠でのつらい生活も回想され、隣で聞いた森田さんは「こんな経験を今の若者たちに経験させてはならない。こんな素晴らしい公園を作ってくれて、供養塔に眠る仲間たちに報告したい」と話した。
 式典で「将来を担う子どもたちのため、恒久平和へ全力を尽くしたい」と誓った山脇実市長の公約で開園が実現。約3㌶の敷地には関連資料を納めた平和交流館や、火薬庫、信管置場、防空壕などの遺構を展示する。開園は午前9時から午後5時。火曜休園。入園無料。
(由本裕貴)
森田さん㊨の日記を朗読する伊藤さん=同
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