全日本中学陸上選手権(全中)の女子400㍍リレー(8月20日、福井市)で、田原市立田原東部中が優勝した。歴代5位の47秒70。個人種目では出場のなかった4人がバトンをつなぎ、昨年2位に終わった雪辱を果たした。4日、田原市役所で山下政良市長に報告した。
ランキング1位の田原東部は、全体5位で予選を通過した。決勝で、第1走者の河合謡さん(2年)がスタートダッシュに成功し、阿部なの葉さん(同)にバトンを渡した。「みんなで優勝する目標でやってきた。順位を落とすわけにはいかない」と阿部さん。コーナーで速度を落とさず走り切り、上位でつないだ。続く横田乙葉さん(同)が逆転し、アンカーは唯一の3年生の伊藤沙耶さん。「後ろから追いかけてきたのは分かったが、焦らず自分の走りに集中していた」。前だけを見てフィニッシュテープを切った。「走りの動きも良かったし、バトンの渡し方も完ぺき。1位になった実感はないけど、うれしかった」と喜んだ。市川佑平教諭は「プレッシャーのかかる場面で120%を出してくれた」とたたえた。
前回の全中後にチームを結成。昨年を上回る「全国制覇」を掲げ、練習に取り組んできた。大黒柱の佐藤那有さんが卒業したが、10月の新人戦で先輩を上回る好記録を出し、伊藤さんは「自信になった」と話す。絶対的なエースはいないが、練習量と流れるようなバトンパスは全国トップクラス。なかでも、冬練習は「つらかった」と口をそろえる。ほぼ毎日、蔵王山の山道や、百々(どうどう)海岸の砂浜を全力で100~150㍍で走る。一日数十本に及び、選手たちは「足腰が鍛えられた。冬練が走力アップにつながった」と話す。
バトンパスの練習も欠かさなかった。春の県予選では1位だったが、記録は振るわなかった。河合さんは「バトンを出すタイミングが遅くて詰まってしまった」と話し、阿部さんは「バトンパスの際に後ろを向く癖があった」と反省。そこから、補欠の2人にも手伝ってもらい、週3日練習を繰り返した。
当日の修正も功を奏した。1日目の予選では「体が動いてなかった」と判断し、2日目の決勝前から本番直前のウォーミングアップに加え、朝に全力で数百㍍走る練習を入れた。市川教諭によると「普段の大会は午前に個人種目、午後にリレーに出場するが、今回は個人では出ないので、いつもと同じ流れをつくりたかった」と説明した。
第2走者から第3走者のバトンを受け取るまでの歩数を24・5歩から25歩に変更。予選では向かい風だったが、決勝前は追い風となったのを見逃さず、歩数を調整してスムーズにバトンパスできたことが逆転につながった。
伊藤さんを除き来年も残る。「沙耶さんを1位にしよう」の思いが3人を強くしたといい、阿部さんは「伊藤さんの存在は大きかった。来年は先輩はいないが、連覇を目指したい」と力強く語った。伊藤さんは「後輩を全力で応援します」と笑顔を見せた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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