渡辺いっけい 豊川への想い㊤

2019/02/03 00:00(公開)
いなりんと初対面を果たし、笑顔の渡辺さん㊨
バラ、いなりんとも「一期一会」

 生まれ育った豊川市から広報大使に任命された人気俳優・渡辺いっけいさん(56)。名脇役としてテレビ、舞台、映画など多方面で活躍し、全国区の知名度を誇る渡辺さんの、故郷への想(おも)いや学生時代の原点に迫る。

 「自分はただせりふをしゃべり、演じ続けるだけの人間。学のない人間で任務ではないと思っていました」。これまで行政の協力依頼を断っていたが、40年近い芸歴で苦難に遭遇し、迷いも感じる中で考えが変わった。「この豊川の街をもう1回見直すことで、一人の役者としても人間としてもプラスになるのではと思いました」。
 高校卒業と同時に豊川を離れ、現在は年1、2回のペースで帰省する程度。故郷の魅力について、最近知ったことも多いという。
 委嘱式の日、新幹線を降りて豊橋駅からの車中で読んだ資料で知ったのが、バラが日本一の出荷量を誇るという事実だ。「日本一というのは知らなかったんですよね。ここ何年かで出荷量が伸びたんですね。自宅ではよくカミさんが生けています。一度(バラの圃(ほ)場を)見に行ってみたいですね」と関心を寄せた。
 また、委嘱式で念願の初対面を果たしたのが、10年前に誕生した豊川いなり寿司のイメージキャラクターいなりんだ。市内外で知名度を誇る人気者に「背中からご飯粒が飛び出していて、本当にいいアイデアだと思います」。友達のいなりコ、イナリソの存在も以前から把握済みで「ぜひトリオでお会いしたい」と笑顔を見せた。
 38年も地元を離れると、郷愁を感じることがある。高校時代に通った喫茶店など、今は姿を消してしまった店舗を「人との出会い」に重ね合わせる。「喫茶店や居酒屋もそうなんですが、お店との『一期一会』もあると思うようになったんです。いずれ死を迎える人と同じように、お店にもいずれ終わりが来る。これからは新しい出会いも探していきたいですね」。
 国府高校出身の渡辺さんは、青春真っただ中のある出会いが俳優を志すきっかけとなった。
(由本裕貴)
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