いつか豊川の街で仕事を

　広報大使を委嘱された渡辺さんは、今後の具体的な活動について「いろんな場所を訪れてみたい。豊川に戻ることが多くなると思う」と話す。気になっているのが、一宮町の実家から徒歩圏内にある観光スポット「大和の大いちょう」だ。
　昨年秋、高さ25㍍にも及ぶイチョウの巨木を間近にして、改めて魅了された。「昔よく見ていた木をふと見上げたのですが、こんなにも見事なイチョウだったのかと感銘を受けました。昨年の台風による塩害被害を受けていたのも聞いていましたから、長生きしてほしいなと思いますね」。
　実はこの大イチョウは雄で、隣接する大和保育園の敷地内に雌の木が立っている。大イチョウはここにかつて存在した大和小学校の新築を祝って植樹されたもので、渡辺さんは同校の卒業生でもある。「雌の木があることはあまり知られていませんからね。気にかけたいと思います」と愛着をみなぎらせた。
　一宮町にある砥鹿神社や、御油町にある国の天然記念物「御油の松並木」にも興味を抱く。「松並木は江戸時代からの景観を残す希少価値の高いものだと最近知りました。一度、じっくりと歩いてみたいですね」。
　全国区の知名度を誇り、ドラマや映画に引っ張りだこの渡辺さんだが、意外にも地元を舞台とした作品には一度も出演経験がないという。同じ広報大使の映画監督・園子温さんの作品を見ている時だった。豊川稲荷門前などがロケ地に使われているのを見て夢中になった。「見覚えのある街並みが出てきて、あっと思いました。絶対に豊川だと思って興奮してしまいました」。園監督の作品への出演について「私は役者で使われる身なので」と前置きしながら、「いつか豊川の街で仕事ができたらいいなと思います」と笑顔を見せた。
（おわり）（由本裕貴）