豊橋市議会の7会派はこのほど、市内の書店存続に向けた図書調達方法の見直しを求める要望書を、長坂尚登市長と原田憲一教育長に提出した。地域の「知の拠点」である書店が減少する中、地元優先の調達や実務負担の適正化を通じて、公的な図書調達のあり方の改善を目指す。
現在、国内では約3割の市区町村が書店を1店舗も持たない「無書店自治体」となっており、地域の文化拠点が消失する危機にある。書店業界はもともと薄利多売の構造であるうえ、再販売価格維持制度によって自ら価格設定ができず、昨今の人件費や手数料、配送コストなどの高騰分を販売価格に転嫁できないという構造的な課題を抱えている。
市内でも図書購入予算が低下する中、単価の低い書籍の購入や図書装備にかかる負担が地元書店の経営を圧迫している。昨年11月には県書店商業組合東三河支部の全加盟書店からも図書調達に関する要望書が提出されていた。
今回の要望書では、事態の打開に向けて三つの事項を市側に求めている。まず、現状の図書類調達が実質的に都内企業による寡占状態にあると指摘し、購入や納品の方法について書店組合と協議の場を設けて解決を図ることを求めた。次に、ラベルやブッカーなどの図書装備にかかる費用については、別予算化を考慮するよう訴えている。最後に、市の文化水準の維持と地域社会の活性化を図るため、図書購入費自体の維持と確保を求めた。
経済産業省のプロジェクトチームも、書店の減少は単に店舗が減るだけではなく、文化を毀損し、国家の存立基盤や競争力を左右する懸念があるとの課題をまとめている。政府も昨年6月に「書店活性化プラン」を策定し、その振興策を「経済財政運営と改革の基本方針2025」に重要課題として掲げた。特にネット情報や電子書籍の利用が少ない子どもたちにとって、街中の書店は本との偶然の出合いや読書習慣のきっかけを与える貴重な場となっており、各会派は子どもたちが多様な本に触れる機会を喪失させないためにも、早急な取り組みの見直しが必要であると訴えている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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