枝野幸男・立憲民主党代表が愛知県入りして名古屋市内で街頭演説した際、東愛知新聞社の単独インタビューに応じた。枝野氏は、老後の生活費に年金以外に2千万円必要とする金融庁の報告について選挙の争点になる認識を示しつつ、「(参院愛知県選挙区は)確実に勝たねばならない。老後や子育ての不安を取り除き、消費の低迷から脱し、豊かさを分かち合い、豊かさを実感できる社会を作っていこうと訴えていく」と決意を示した。聞き手は本多亮・東愛知新聞社社長。
(木村裕貴)
枝野氏は、参院選愛知県選挙区(改選数4)に同党から出馬する新人で元国連職員の田島麻衣子氏の応援で名古屋市を訪れた。インタビューは8日夕、田島氏の事務所で行われた。1問1答は次の通り。
―選挙の対立軸は何か。
枝野 企業の収益重視か、家計重視かだ。
老後の不安、子育ての不安、消費の低迷に正面から取り組む姿勢があるのは私たちだけ、と自負している。豊かさを分かち合うにはまっとうな政治が必要だ。
―改憲は争点になるだろうか。
枝野 自民党は(改憲を争点にすることを)ためらっている。すくなくとも本気で仕掛けてきていない。安倍首相がガンガン(改憲を)言わない限り争点にはならないだろう。
無党派層は(改憲に)関心を持っていない。安倍首相には改憲させたくないと思っている人がマジョリティだ。(安倍首相が)改憲にガンガン触れてくれた方がありがたい。
―(老後の蓄えに必要だという金融庁報告の)2千万円問題について。
枝野 改憲よりこの問題の方が(政権批判に)説得力がある。メディアは繰り返し取り上げるだろうし、有権者は選挙まで決して忘れない。
(森友、加計問題で浮上した)情報公開や公文書管理の徹底、行政監視の強化などを安倍首相がちゃんとやるとは誰も期待していない。
―党首討論が開かれていない。
枝野 党首討論より衆院の予算委員会(の開催)が先だ。それがない限り、党首討論に応じない。15分かそこら(の安倍首相の説明)でごまかされてはたまらない。
―参院選1人区の野党の一本化が整った。
枝野 選挙はやってみないとわからないが、戦える状況は出来たと受け止めている。
―自由党の小沢一郎代表の影響はあった?
枝野 今回の一本化に(小沢氏は)まったく関係ない。
―参院選愛知県選挙区について。
枝野 絶対に勝たねばならない。愛知、北海道、埼玉、神奈川は勝って(議席をとって)当たり前。ここで取れないことでは困る。厳しい選挙区として三重や静岡がある。こちらが超重点区だ。
―東三河について。
枝野 昭和につくった日本の豊かさを持っている地域の1つ。気候や都心からのアクセスも良く、第2次産業もある。しかし現在、地元に住む人がその豊かさを実感できていないのではないか。名古屋、東京への一極集中の流れを逆回転させ、地域の特徴を活かし、時代に合った経済・社会のシステムづくりをぜひ一緒に進めていきたい。
枝野代表へのインタビューには参院選愛知県選挙区に出馬する田島氏も同席した。
―田島氏について。
枝野 世界の貧困に取り組む厳しい国連の現場で仕事してきた。貧困問題に日本は当事者的実感を持っていない。それを持つ田島氏は(日本政治の)大きな武器になる。
田島 私が働いていた現場に日本の政治家が来ることはなかった。それでは世界における日本の影響力は弱くなってしまう。現地の人と働いてきた経験を活かし、日本のために仕事をしたい。
人生100年時代における豊かさとは何かを考え、女性と子どもを応援する仕事をしていく。
「女性と子どもを応援する政治を進める」と述べる田島氏=同