そこに刻まれた轍 ほのくに幻影物語

2020/03/04 00:00(公開)
遊歩道には散水に使われたとされる水道栓のふたがある=遠望峰山で
⑫とぼねスカイランド

 今年は暖冬で雪不足が深刻だが、かつて蒲郡市と幸田町をまたぐ遠望峰(とぼね)山の山頂付近に、一年中楽しめる人工スキー場「とぼねスカイランド」があった。閉園から20年以上経つが、地域に親しまれたレジャー施設の痕跡を垣間見ることができる。
 とぼねスカイランドは、現在の旅館「天の丸」の東側に広がっていた。1978(昭和53)年6月24日に開園し、年間数万人が訪れた。
 急勾配に人工芝が敷かれ、家族連れがスキーを楽しんだり、競技選手たちがトレーニングに活用した。大人用の滑降コースは全長300㍍、傾斜は最大20度。長さ30㍍ほどの子ども用コースもあった。人工芝には細かいビーズがまかれ、さらに滑りやすくするために約1時間おきに水がまかれた。リフトや円形の展望台、遊歩道やフィールドアスレチックもあり、ナイター営業も行われた。
 雇用促進事業団が建設し、蒲郡市の外郭団体「都市施設管理協会」が管理していたが、平成以降は利用客が減少し、1998(平成10)年3月をもって閉園した。いまは施設もすべて撤去され、ゲレンデがあった部分は草木に覆われているが、痕跡がわずかに残されている。
 天の丸の駐車場近くにコンクリートの土台があるが、ここにリフト乗り場があった。茂みの奥には、施設のものと思われる案内看板の枠だけが立つ。駐車場付近から入れる山頂へ続く遊歩道には、ところどころに散水で使われた水道栓のふたがある。山頂には、管理棟があった付近にコンクリートの土台が残されている。
 ゲレンデからは幸田町の街並み、頂上からは三河湾と絶景も楽しめ、まさに「天空の国」だった施設。すぐ南東部にある「とぼね橋」と共に、レジャーの街を象徴する遺産だ。
(由本裕貴)
リフトがあったコンクリートの土台=天の丸駐車場で
1991年4月のとぼねスカイランド(牧真太郞さん提供)
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