老朽化で「豊橋ハリストス正教会」改修へ

2021/01/16 00:00(公開)
修復が始まった豊橋ハリストス正教会
修復が始まった豊橋ハリストス正教会
 国の重要文化財「豊橋ハリストス正教会」(豊橋市八町通2)が15日から老朽化に伴う補修工事に入った。2024年6月まで3年半かかる大規模な改修だ。これからしばらくは聖堂の一般見学はできなくなる。この日、工事の安全を祈願する「聖成式」があり、その後内部が報道陣に公開された。
 1913年の建設。設計監督は南知多町出身でハリストス正教会副補祭だった河村伊蔵。河村は松山市や大阪府吹田市のハリストス教会聖堂も設計しており、その経験を生かした集大成が豊橋聖堂になるという。
 木造のビザンチン様式で182平方㍍の平屋建て。玄関の上にはシンボルともいえる3層八角形の鐘楼が立つ。鐘は戦時中の金属供出でなくなったが、現在は小ぶりなものが設置されている。
 基礎は切石積み、内壁は白しっくい。屋根は銅板ぶき。1945年の三河地震にも耐えたが、老朽化が進み、2018年の台風24号で屋根の銅板の一部が落下したほか、しっくい壁にひび割れができるなどしていた。
 このため、国と県、豊橋市が補助し、総事業費1億6700万円をかけて3年半ががりの改修をすることになった。
 屋根を全面的にふき替えるほか、木材の取り替え、しっくいの塗り直しなど多岐にわたる。また、耐震診断のうえ、文化財の価値を損なわないよう耐震補強する。工事にあたり、老朽化した部分の分解もある。このため、施工を監理する「文化財建造物保存技術協会」の担当者は「分解の過程で新たな知見が得られるかもしれない」と話している。
【山田一晶】
工事の安全を祈願する「聖成式」
工事の安全を祈願する「聖成式」
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