「最後の浮世絵師」月岡芳年 豊橋美博で画業を紹介

2021/10/09 00:00(公開)
芳年の作品を時代順に並べた展示会場=豊橋市美術博物館で
 幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年(つきおかよしとし、1839~92年)の画業を紹介する「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が9日、豊橋市美術博物館で始まる。開幕を前に8日、内覧会が開かれた。
 「最後の浮世絵師」とも称される芳年は、武者絵や歴史画、役者絵、美人画をはじめ、戊辰戦争を取材した戦闘画や新聞錦絵などでも活躍。江戸と明治をつなぐ浮世絵師として注目されている。芳年のコレクターである京都の日本画家、西井正氣氏の所蔵品から浮世絵、肉筆画、スケッチなど計263点を展示した。
 時代順で会場を構成。第1室(1853~65年)は、「和漢百物語」など12歳で歌川国芳に弟子入りしてからの兄弟子の影響を受けた作品の数々を紹介。第2室(66~72年)は自身が戊辰戦争で目の当たりにした情景などを反映させた「血みどろ絵」とも呼ばれた「無惨絵」を並べた。特に刺激の強い作品は会場内にコーナーを設け、注意書きの奥に並べている。
 第3室(73~81年)は「大日本名将鑑」「郵便報知新聞」など、神経の病が癒えて以降、精力的に描いた神話や新聞錦絵、西南戦争が題材の作品と、涼やかな表情の美人画などを展示。服のしわなど細部まで丁寧に表現した躍動感ある作品が見られる。
 第4室(82~92年)は円熟期から晩年の作品を展示。浮世絵にありがちな見えを切るような絵ではなく、斬新なアングルの武者絵が並ぶ。遠近感や疾走感まで表現した、現代の劇画や漫画にも通じる緊張感ある作品が観賞できる。
 「リアルな動きを表現した戦闘絵、西洋の影響を受けた作品など、江戸から明治へと変遷する中で確立させた作風を見て」と学芸専門員の増山真一郎さんは話す。
 11月23日まで(月曜休館)。一般・大学生800円、小中高生400円。
【田中博子】
会場一角には「無惨絵」コーナーも
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