田原にあった「大山灯台」記載の海図複製を寄贈

2022/02/27 00:00(公開)
寄贈された海図(提供)
寄贈された海図(提供)
 1888年8月に渥美半島に私設で建てられた幻の灯台「大山灯台」を掲載した海図の複製を、田原市伊良湖町の第四管区海上保安本部伊勢湾海上交通センターが市博物館に贈った。25日、同館で寄贈式があった。
 古くから海の難所である渥美半島沖では、江戸時代から多くの船が難破していた。灯台は当時の和地村、越戸村の有志が83年に計画。手続きや資金調達に難航し、5年後に実現した。越戸町の西の外れ、海を臨む崖の上に建設されたが、94年までの6年間稼働したのみで、現在では正確な場所を知る人もいなくなっている。廃止の理由も記録に残っていない。その後、1929年に伊良湖岬灯台が完成している。
 記録によると灯台は白色の木造六角形。基礎から灯火まで約5・1㍍、海面から約24・5㍍の高さにあり、晴れの日の夜には約24㌔㍍先まで光が届く計画だったという。
 伊勢湾海上交通センターの平山浩所長は、江戸時代末期に地域の村人が船で遭難し漂流した永久丸事件について調べた際、大山灯台と、同灯台が存在していた時期の海図が海上保安庁に残されていることを知ったという。海難事故を心配し、防止のため苦心した地域の人の思いを知って欲しいと、海図の複製を寄贈することにした。
 博物館では海図を展示するほか、研究資料に使うなどし活用の成果を発表していきたいとしている。
【岸侑輝】
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