平和を祈り浜野さん 16日から奄美で書展

2022/04/12 00:00(公開)
浜野龍峰さん
 南米を中心に海外でも活動する書道家浜野龍峰さん(61)=豊橋市北山町=の展覧会「平和への想い」が16日~5月15日、鹿児島県奄美市の「田中一村記念美術館」で開かれる。
 浜野さんは海外で20年以上活動しているが、新型コロナウイルスの感染拡大で渡航が難しくなった。昨年6月、たまたま奄美大島を訪ねたところ、アコースティックユニット「Nana」と出会った。
 第二次世界大戦終戦間際、特攻隊員が奄美大島の隣にある喜界島に置いていった天人菊を歌にして語り継いでいる。天人菊は、給油のために喜界島に立ち寄った特攻隊員が、せめて花だけは残そうと島に置いていった。今も滑走路脇に咲き続けているという。ここから縁が広がり、書展の開催につながった。
 浜野さんは鹿児島県にある「知覧特攻平和会館」を訪ねたことがあり、特攻隊員が残した遺書を見た。文面には母への感謝などの言葉がつづられているが、筆跡から特攻への恐怖や若くして死ぬ悔しさを感じた。
 展覧会では、Nanaが歌う「天人菊の丘」の歌詞をはじめ、特攻隊員の魂をイメージしたもの、2001年の米同時多発テロ事件後に制作した作品などが並ぶ。どれも平和への祈りを込めた。
 浜野さんは「何かに導かれるように書展の開催が決まりました。会場には天人菊の丘の曲が流れます。歌と書がある特別な空間で、平和について、命について考える時間が共有できたら」と話す。期間中、浜野さんは奄美大島に滞在する。入場無料。
【竹下貴信】
展示される作品「天人菊の丘」
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