消費者と全国の生産者をつなぐ
全国各地の農家を紹介する「農カード」の参加農家が20日、田原市中央図書館で「農カードマルシェ」を開いた。農作物と生産者を消費者に知ってもらうプロジェクトの一つ。初の試みで、市内を中心に5軒の農家が参加した。館内には過去2年間で発行したすべての農カードを12月8日まで展示している。
「渥美半島とまとランド」(中山町)の小川浩康さん(32)ら各地の農家3人が2年前、農業を盛り上げようとプロジェクトを始めた。青森県ですでにあった「漁師カード」にヒントを得た。
名刺大カードに生産者と農作物の写真、農家のウェブサイトを結ぶQRコードを掲載。カードは募集期間に農家の農作物をインターネット上で買うと付録で同封される。発売2年間で170人がカード化された。
小川さんによると「最近はカードコレクターだけではなく、参加希望の農家や農業を支えたいという消費者の問い合わせも増えた」と話す。「2年間で、農作物だけでなく農家への関心も高まった。消費者の身近な存在になりつつある」と活動の成果を強調した。
この日のマルシェはプロジェクトの延長の一つと位置付ける。参加農家と消費者が実際に会う機会として、将来は各地で大規模に開きたいと考えている。
広島県三原市でブドウや梨などを手掛ける「久保田農園」の久和田早紀さん(36)は、カード番号「4」番の初期メンバーだ。「新型コロナウイルス禍も重なり、個人の活動に限界を感じた。協力できる仲間とで消費者とつながる機会を得られて意義深い」と話す。
プロジェクトについて小川さんは「消費者とつながる機会が増え、参加者の動機付けにもつながった。将来は対戦型ゲームに広げるなどの特典も付けたい」という。
【加藤広宣】