市中央図書館で「再発見!豊橋の遺跡展」

2023/02/10 00:00(公開)
絹村さんの企画展=豊橋市中央図書館で
 豊橋市石巻地区で戦後見つかった「玉川変電所遺跡」を中心に、文化財センターが「再発見!豊橋の遺跡展」を市中央図書館で開いている。変電所技師で考古学研究者の絹村良さん(1907~95年)の出土資料などで当時の様子を紹介している。26日まで。
 縄文中期(5500年前)から弥生時代前期(2400年前)までの遺跡で、1951年に見つかった。絹村さんは変電所技師として56年まで11年間勤め、敷地や周辺の発掘などに参加するなど研究に携わった。
 企画展では遺族が市に寄贈した旧蔵品から東日本系の縄文土器や石の矢じり、投網漁に使った石のおもりなどを中心に90点を紹介。出土品を手書きで写した実測図などもあり、遺跡との関連を裏付ける資料だという。
 村上昇主任学芸員によると「土器棺墓(かんぼ)や儀礼品などの出土品から、秩序の整った大集落が拠点を移しながら繰り返し使った跡が分かった」などと説明した。
 変電所長の採集品やその子どもの作文(複製)もあり、専門外の人らも身近に関わっていた様子も分かる。
 当時は行政主体の発掘調査もなく、調査手法が確立されていない時代だった。村上学芸員は「ノウハウがない中、これほど詳しく記録保存されているのに驚く。在野の研究者らの地道な活動が今に生かされている」と意義を語った。
 18日午後2時から考古学セミナーを開く。昨夏の発掘で弥生時代の神殿跡とみられる遺構が見つかった境松遺跡(牟呂町)の発掘成果を紹介。先着66人まで、資料代100円。問い合わせは文化財センター(0532・56・6060)へ。
【加藤広宣】
絹村良さん(提供)
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