花王は27日、豊橋市明海町の豊橋工場に新設した次世代型新倉庫の完工式を開き、関係者に披露した。入庫から荷物の仕分けや出庫までを完全自動化でき、隣接する工場や物流拠点との一体運営で効率的な商品供給なども可能になる。人手不足や環境配慮などの課題に対応できる持続可能な物流体系構築へ向けたモデルケースとしたい考えだ
スキンケアとヘアケア製品などを生産する豊橋工場で、少量多品種に対応可能な設計とした。工場敷地内の新倉庫は約7150平方㍍、製品120万個を保管できる。
トラックの入出庫場所から下ろした荷物は、フォークリフトを使わずパレットごと有軌道台車(STV)に乗せて自動倉庫へ送られる。パレットの情報(商品量など)はデータで管理され、出庫時はSTVで随時荷さばき場へ移される。
荷さばき場では自動搬送車(AGV)とフォークリフトで発送先ごとに仕分け、ラッピングなども施して再び入出庫場所へ送ってトラックへ積み込まれる。自動化による1日の入出荷量目標は各4万個としている。
また、トラック入場予約や車両ナンバー認証、庫内設備の制御の各システムを連携させ、入出庫の予約状況や車両到着状況に合わせて作業を管理できる。来場するトラックの待機時間削減で生産性を高め、ドライバーが安心できる「ホワイト物流」にもつながる。
花王が進める製品の少量多品種化への対応に加え、ドライバー不足や働き方改革を迫られる物流業界が抱える「2024年問題」などの社会課題への対応が、次世代倉庫の建設につながった。
同社の田端修常務執行役員は「新倉庫を活用して、安全安心、持続可能性と物流の効率化やスピード化、コストダウンなどの課題解決につなげたい」と述べた。
【加藤広宣】
完全自動化と無人化された荷さばき場
ラッピングも自動化される