100歳祝う記念凧に仕上げの筆入れ
豊橋市に本社のある飲食店チェーン「物語コーポレーション」創始者の小林きみゑさんがこのほど、親族らと一緒に田原市の「田原まつり会館」を訪れ、自身の数え100歳を祝う記念の凧(たこ)に筆を入れた。
1924年8月21日生まれ。終戦後間もない49年に「物語」の始まりとなるおでん居酒屋「酒房源氏」を立ち上げた。料理好きのきみゑさんが腕をふるったおいしい料理と静岡産の酒は好評だった。
67年に「げんじ」を設立。97年に社名変更した現在の物語コーポレーションは「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「お好み焼本舗」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」など計500店舗以上を全国展開し、成長を続けている。そんな社にとって、きみゑさんは今でも生きる社是。従業員から「お母さん」の愛称で呼ばれている。経営理念の「スマイル&セクシー」もきみゑさんがモデルになっているという。
凧はきみゑさんの友人を代表し、NHK文化センターで3月まで「やさしいヨーガ」の先生をしていた腰原和枝さんが田原凧保存会に製作を依頼した。保存会凧師の鳥井賢次さんと鈴木裕さんの手で横2㍍、縦1・2㍍の25枚凧と呼ばれる大きなサイズの凧が出来上がった。
小林家の家紋「左三つ巴」ときみゑさんの似顔絵が描かれたトレードマークの左右で松竹梅にツルとカメが並ぶ、縁起の良い絵柄。仕上げにきみゑさんが筆を入れて完成した。「家紋がちゃんと入っていて、ツルもカメもいる」とお気に入りのポイントを語った。「最高です。命が惜しくなった。いっそう生きたくなった」と話した。
満100歳を目前にしても、きみゑさんは、頭脳明晰(めいせき)で記憶力も抜群。よく食べよく飲む。まったく衰えを見せない。腰原さんにとってきみゑさんは30年以上教えた生徒だが「生き方は教えてもらう側。手本になっている」と話す。息子で2代目社長の佳雄さんも「自立心では負けないが、記憶力や生きる気力では負けそう」と語った。きみゑさんに長生きのコツを聞くと「特に意識したことはない。毎日楽しく遊んでいるうちにここまで来た」と笑った。
田原凧保存会では祝い凧の製作依頼を受け付けている。問い合わせは鈴木さん(090・2131・4352)へ。
【岸侑輝】