無料のオンライン百科事典「ウィキペディア」を編集するイベントが4~5日、豊橋市と田原市で開かれた。両市で指導したのは、2007年11月から12年12月まで、ウィキペディア日本語版管理者を務めた海獺(らっこ)さん。各地でウィキペディアの編集を通じて情報リテラシーを教えている。
豊橋で活躍女性を記事に
東三河で活躍した女性のことをウィキペディアの記事にする「ウィキペディア編集で考える、ジェンダーバイアス」が4日夜、豊橋市の「みずのうえ文化センター」であった。約20人が参加した。
ウィキペディアは誰でも自由に編集できるが、人物紹介は、女性は全体の2割にとどまる。2018年にスウェーデンでウィキペディア上での性差をなくす「ウィキギャップ」運動が始まった。豊橋市議の古池ももさんらが企画した。
前半は、海獺さんが、ウィキペディアの考え方などを解説した。後半は目の見えない女性の地位向上を目指した斎藤百合や江戸時代の歌人林織江ら8人の業績などを調べ、編集した。ウィキペディアに記載がなかったり、内容が不十分だったりしたため、グループに分かれ、郷土資料を手に、出典を明記し、人物ページを作った。
参加した丸地加奈子さんは、「楽しみながら豊橋の人物について学べて良い機会になった」と話した。
【北川壱暉】
田原では博物館で3項目調べアップ
田原市図書館は5日、「ウィキペディアタウンin田原」を市博物館で開いた。
博物館の展示から田原にゆかりのある人物などの情報を調べ、ウィキペディアの項目を作るイベント。5年ぶりの開催で4回目。市内外から18人が参加した。
海獺さんは記事の編集と掲載には、独自の研究を載せないこと、中立性を保つこと、出典を明記することの三つが重要だとした。記事の編集作業は、知識の振り返りや深掘りのきっかけになるという。「よく調べて書いたことは、自分にとっても特別な知識になる」と述べた。ウィキペディアに関わる世界的な活動なども紹介した。
参加者は、「福江町出身の挿絵画家宮川春汀」「田原市博物館」「渡辺崋山の画風を継いだ白井烟嵓」の三つの記事を手分けして調べ、編集し、アップした。
【岸侑輝】