一昨年6月から長期休館し、老朽化対策の大規模改修工事を進めていた豊橋市美術博物館が、3月1日にリニュアールオープンする。展示、保存環境や利便性が向上したほか、新しいスポットも誕生する。オープン日からは記念展「ブルターニュの光と風」を予定している。
1979年6月に開館。郷土ゆかりの美術や歴史、考古、民俗資料を中心に調査、収集して展示するほか、さまざまなジャンルの企画展、講演会や講座などにも取り組んできた。一昨年6月1日から休館し、改修整備工事を進めていた。世界情勢の急変による半導体不足などの影響から設備機器などの納期遅延で、工期が今年2月まで約5カ月延びた。
館は再始動にあたり「つなぐミュージアム」を「めざす姿」として掲げた。「人と時をつなぐ-地域文化を守り、活かし、継承する活動を行います」「人と文化をつなぐ-文化・教育活動を推進し、豊かな社会の創造に努めます」「人と人をつなぐ-文化の魅力を発信し、市民が誇れるまちづくりに参画します」の三つの方向性に沿って博物館活動を進める。
コンセプトに基づきロゴマークも一新。三つの球体が結びつく形で、市内の美術家味岡伸太郎さんが手がけた。館の目指す「つなぐミュージアム」を表現している。
空調設備に最新機器を導入、今まで以上に温度や湿度を一定に保てるようにした。また、照明機器をLEDに取り替え、展示物に当てる光量が調整できるようになった。
玄関ホールにはエレベーターを設置し車椅子やベビーカーでも楽に移動できるようにしたほか、中央ラウンジにキッズスペースと授乳室を新設した。
中庭の彫刻展示を一新し、世界的に活躍した愛知ゆかりの作家、国島征二さんの遺作である石彫を並べた。作者が「光庭(ひかりにわ)」と命名している。
また、1階と2階でゾーン分けし、1階は美術作品を展示、2階は豊橋の歴史が通史的に学べる空間にする。
2階には、地域の歴史文化を紹介する「とよはしの歴史」を常設展示する。先史から現代に至るまでの豊橋の歴史を、18テーマに分けて時代順に紹介。市内の遺跡から出土した遺物、室町時代の経典、戦国時代の書状、吉田藩ゆかりの武具、近代の刷り物など指定文化財を含む現物資料を中心に、複製資料やジオラマ、解説パネルを置く。
「とよはしの歴史」に関する文字情報を見て、ガイド音声を聞きながら鑑賞できる、ミュージアム展示ガイドアプリ「ポケット学芸員」も導入している。
記念展「ブルターニュの光と風」も開催
リニューアルオープン記念展「ブルターニュの光と風」は、1階展示室で3月1~4月7日。会期中無休。
ブルターニュのカンペール美術館のコレクションを中心に、現地の風土や人々を描いた近現代の絵画を紹介する。ウジェーヌ・ブーダン、ギュスターヴ・クールベ、ポール・ゴーギャン、モーリス・ドニらの作品60余点を展示する。
前売り券発売は2月1日から。一般・大学生1000円(当日1200円)、小中高生400円(同600円)。「ほの国こどもパスポート」持参の小中学生は無料。豊橋市内の70歳以上の人は600円。
期間中、記念講演やワークショップ、コンサートなどの関連イベントを開くほか、ミュージアムカフェ「ネオこすたりか」では「コラボメニュー」も用意している。
【田中博子】
リニューアルリーフレット
国島征二の石彫を設置した「光庭」