菅原監督が映画「カムイのうた」を本社でPR

2024/01/11 00:02(公開)
映画について語る菅原監督=東愛知新聞社で
26日から全国公開

 映画「早咲きの花」などで知られ、豊橋ふるさと大使を務める映画監督の菅原浩志さんが10日、東愛知新聞社を訪れた。26日に全国公開する「カムイのうた」について堀内一孝社長に語った。アイヌ文化を初めて日本語に訳した知里幸惠(1903~22年)がモデルで、差別や迫害の史実を伝える。
 菅原さんは「ぼくらの七日間戦争」(1988年)で監督デビュー。豊橋市制施行100周年を記念した「早咲きの花」を手掛けた。北海道東川町が舞台の「写真甲子園0・5秒の夏」は第30回東京国際映画祭でワールドプレミア上映された。
 写真甲子園が縁で、東川町長に旭岳の山開き儀式を記録として残すため撮影依頼を受けた。アイヌ文化を聞こうと「川村カ子トアイヌ記念館」の川村兼一氏と交流した。川村氏は飯田線の測量で知られるカ子トの子。アイヌ文化の資料集めやキャスティング、こだわり抜いた撮影で、制作は3年に及んだ。
 幼い頃から和人と同じ学校に通うことを禁止され、同化教育を受けてきたテルが主人公。学業優秀でも進学に苦労し、学校で理不尽な差別といじめを受けた。そんなテルに伯母はアイヌの口承文芸「ユーカラ」を歌い聴かせる。ある日、東京からアイヌ語研究の第一人者の兼田教授が「ユーカラ」を聞くために、伯母の元へ。教授の「アイヌ民族であることを誇りに思ってください」との言葉がテルの心を動かす。教授から「ユーカラ」を文字で残すよう勧められ、テルは日本語に翻訳する作業に取り組む…というストーリー。
 史実への忠実さを求めた。少ない資料を調べ、残された写真に写っていない日常を探った。キャスティングにも苦労した。演者には髪とひげを伸ばしてもらい、伯母役の島田歌穂さんには何曲も「ユーカラ」を歌わせた。作中の「アイヌ神謡集」の序文を壮大な自然美で表現しようと、CGや既存の映像を一切使わず、北海道の四季折々を丁寧に撮影した。
 アイヌからは「和人のお前に何が分かるんだ」と言われた。「これほど覚悟が必要な映画はなかった」と菅原監督。好きな酒を3年間断った。知里さんの記念館を作ろうとしている旭川の男性がオーディション会場に来て、監督に知里さんの遺骨を託した。遺骨と対話しながらシナリオを書いたという。
 「先進国で『先住民がいる』と発表したのは日本が一番遅い。個性と多様性を認める国になってほしい。特に次代を担う若者に見てほしい」と菅原監督は話す。
 公開初日は豊橋市の「ユナイテッド・シネマ豊橋18」で午後4時20分からの上映の後に、菅原監督らによる舞台あいさつがある。
【田中博子】
「カムイのうた」パンフレットより
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