9日に東京都で開かれたロボット競技会「NHK学生ロボコン2024」で、豊橋技術科学大学ロボコン同好会「とよはし☆ロボコンズ」が、史上初の3連覇を果たした。最多優勝記録も9回に更新し、ベトナムで開かれる「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト2024」の出場が決まった。
この大会は、与えられた競技課題をもとに、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通して技術力と独創力を競う。今大会には全国の大学や高等専門学校から事前審査を通過した18チームが出場した。
今年は「コメ作り」がテーマ。2台のロボットが苗に見立てたポール12本と、籾(もみ)に見立てた2色のボールを決められた場所に移す。自律型ロボットの1台が、自分の色のボールを判別してつかみ、「サイロ」と呼ばれるかごにボールを入れる。3分以内に移動した苗と籾の合計点数が相手を上回るか、相手との点差が開き勝利確定となる「ムアバン」を目指す。
初戦の豊田高専、2回戦の信州大、準々決勝の早稲田大との試合では、安定したロボットの動きで相手を圧倒。3試合とも1分以上を残して、勝負を決めた。準決勝の新潟大学戦でピンチが訪れる。相手のトラブルに乗じて、前半は順調に得点を重ねていったが、後半に自陣のロボットが一時停止するトラブルが発生。ボールを1個多く投げ入れてしまう反則をし、タイムロスを余儀なくされたが、冷静に対処して勝利をつかんだ。
決勝の東京大学との試合では、壮絶な点の取り合いとなった。国内屈指のスピードを誇る東大のロボットに対し、豊橋技科大は安定感と経験で対抗した。前半は、互いに一歩も引かない展開で試合が進んだが、中盤に両校ともロボットが停止するトラブルが起きた。豊橋技科大はボールを移動する順番を間違えて反則を取られたが、慌てることなく操縦型ロボットのトラブル対応をしている間に、自律型ロボットで得点を重ねた。最後は、互いに膠着(こうちゃく)状態で試合が進み、490対400で東大を破った。置いたボールの数は1個差で接戦だった。
優勝のゴングが鳴った瞬間、会場の3人は両手を上げて抱き合い、3連覇を喜んだ。涙を浮かべるメンバーもいた。金色のテープが選手たちを包むと、応援に来た同好会の仲間たちも国旗を振ったり、拍手をしたりしてメンバーを出迎えた。
代表の宮下功誠さん(機械工学課程4年)は「夜遅くまで、審判やタイマー係を入れて、トラブルを想定した練習に取り組んだ。一番練習したという自信がチームを一つにさせた」と振り返る。3連覇については「チャンスが来たなら俺らの代で取るしかないという気持ちだった。後輩たちに『豊橋は最強なんだ』と証明できて良かった」と振り返った。8月にはABUロボコンが控える。「ミスを修正して完璧な状態で大会に臨みたい」と意気込んだ。
解説を担当した前代表の廣本一真さん(23)は「プレッシャーを感じていたと思うが、トラブルを予測した練習量で勝てたのでは。彼らなら世界大会でも心配いらない」とエールを送った。
【北川壱暉】