3代にわたる挑戦の歴史つづる
豊川市諏訪西町の総合建設業「イトコー」は、創業75周年を記念した本「直系の宿命と事業承継の年輪~未来へ受け継ぐ経営手腕」(146㌻)を発行した。2021年に95歳で亡くなった創業者の伊藤正雄さん、2代目で会長の伊藤正幸さん(70)、3代目で社長の伊藤博昭さん(42)が、3代にわたりチャレンジしてきた内容や経営方針などを紹介する。
1950年に創業した。正雄さんは戦争の苦難を乗り越え、大工の修行をして会社を立ち上げた。座右の銘でもある「不断の努力」を貫き、会社の規模を拡大していった。
正幸さんは大工を目指したものの体が小さいことから、父の正雄さんから「大工ではなく技術者として勝負しろ」と言われ、設計を担当する現場監督を志すことになった。
正幸さんはバブルの絶頂で順調に仕事が入ってくる中、「このような状況は長くは続かない」と判断。今では当たり前になっている空気の流れまで考えた住宅「OMソーラーの家」を社内の反対を押し切って、時代に先駆けて導入した。その後も工場や倉庫に適した「yess建築」への加盟、地元の木を使う「穂の国の家」などを展開した。さらに環境保全にも尽力し、「穂の国の森から始まる家づくりの会」を設立し、東三河の小中学校に出向き教室の壁に杉板を張る「ビタミン材運動」に取り組んだ。
博昭さんは、子どもの頃から正雄さんと一緒に建築現場に行くことが多く、家業を継ぐことを意識していたという。全国一の工務店といわれる鹿児島県の「シンケン」で修業した。
入社後は、赤塚山公園の開園30周年事業の一つである「パークPFI」を活用した飲食物販売施設と休憩施設を兼ねた施設をオープンしたほか、「自然と共に生きる、健康的で愉しい暮らし」をテーマにした家づくりを展開している。社員の席を自由にするフリーアドレス制の導入にも踏み切った。
3代がその時代にあった業務をそれぞれに展開し、75周年を迎えることができたことが伝わってくる。また正雄さんが趣味で描いた絵や、イトコーが取り組むSDGs(持続可能な開発目標)について紹介する。
正幸さん、博昭さんは「75周年の節目にイトコーの歴史や精神を伝える本ができました。イトコーの名前の由来の通り、今後とも関係した皆さんと『いとこ』のような付き合いをしたい」と話した。
2000部発行し、取引先、顧客などに配った。豊川堂で1000円(税別)で販売中。
【竹下貴信】