長崎県島原市で開かれている全国高校総体(インターハイ)の弓道男子個人で、県立豊橋商商業高校3年の野本歩夢さんが日本一に輝いた。同校では初の快挙。野本さんは「インターハイ優勝を目標に練習してきたので本当にうれしい」と喜んだ。
予選、準決勝と危なげなく勝ち抜き、最後まで当て続けた選手が残る決勝に進んだ。4本目終了時点で5人に絞られ、的が36㌢から24㌢になる5本目に挑戦した。「団体練習の合間に24㌢の的でずっと練習していたので、落ち着いて射に集中できた」と野本さん。3人が挑戦した7本目で、ほかの2人が外すなか、野本さんが的の中心付近を射抜き、会場からは歓声があがった。
6月の東海大会では4位。「プレッシャーのかかる1射目で外すことが多く、完璧な射を打てなかった」と反省した。インターハイに向けて「一射一射同じ気持ちで射る」意識で練習を積み重ね、今大会では予選から計15本すべて当てた。
顧問の朝倉千尋教諭はじめ仲間の存在も大きかったという。1年冬の新人戦の団体戦で4本中1本も当てることができず、チームも敗れた。肩を落とす野本さんに朝倉教諭から「ここで終わりじゃないだろ」と声をかけられた。昨夏は個人戦でインターハイ出場を逃すなど苦しい時期もあったが、「前を向いて苦しい練習を続けてこれたのは朝倉先生があの言葉をかけてくれたから」と感謝した。今回も、試合前に後ろから仲間が声援を送ってくれて勇気が湧いたという。教え子の快挙に朝倉教諭は「豊商の歴史をつくってくれた」とたたえた。
男子団体は決勝トーナメント1回戦で、杵築(大分)に14射では決着がつかず競射で勝利、2回戦は宮島工(広島)を17対11で破り、6日の準々決勝に進んだ。
【北川壱暉】