桜丘高校バスケットボール部が「全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)」に出場する。水越悠太監督が「結成当初は歴代で一番弱かった」というチームがここまで成長できたのはなぜか。分岐点は、インターハイ敗退後の夜にあった。
新チームとなった1月。昨年までチームの柱だった平寿哉選手(シーホース三河)や舘山光騎選手(米TSF)が卒業し、本大会の出場経験がほぼないメンバーが中心になった。1月の新人戦の県大会決勝でライバルの中部大第一に58対101で大敗。水越監督は「強豪に食われている。試合の重要な局面で逃げているように見えた」と振り返る。「リベンジを」と臨んだ夏のインターハイでは初戦で羽黒(山形)に敗れ姿を消した。
「このままじゃまずい」。昨年の先輩たちを見てきた畑野瑞季主将は、チームの行く末に大きな不安を感じていた。それは高尾ショーン選手も同じだった。敗北した日の夜、畑野主将らの呼びかけでホテルで緊急ミーティングが行われた。
敗因や今後やるべきことを選手同士で日付が変わるまで話し合った。畑野主将は「『早く終わらないかな』という雰囲気があったが、ショーンが積極的に意見を出してくれて、がらりと変わった。ちゃんと考えていると感じ、うれしかった。チームが一つにまとまった」と話す。
ここからギアが一段上がった。一時チームを離れ、数週間ぶりに戻った水越監督は「目の色が変わり、練習の強度が上がった」と驚いたほど。練習では、「ディフェンスからの速攻」をテーマに、ルーズボールやリバウンドの対応、ゾーンディフェンスの相手への対策などに取り組んだ。
本大会への出場権を懸けた県予選。決勝の相手はまたしても中部大第一だった。第1クオーター(Q)で8点をリードしたが、第2Qで25対31と逆転を許した。水越監督が「必ず流れが来るから」と呼び掛け第3Qへ。ここで奮起したのが中学から監督の下でプレーする高尾選手。次々と3点シュートを決めて再逆転し、第4Qはリードを守り切った。「地力の差があると思う瞬間はあったが、子どもたちを信じて良かった」とうれしさを噛みしめた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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