トヨタグループの創始者豊田佐吉翁(1867~1930年)が生まれた静岡県湖西市にある「湖西少年少女発明クラブ」が進化している。小学3~6年だった受講対象を2022年度から中学生までに拡大、プログラミングをはじめ専門的な知識や技術を学ぶ機会を創出し活動を充実させた。受講希望者も増えている。クラブは、モノづくりへの関心を一層高めてもらうきっかけづくりにもなる恒例の「第46回親子たこあげ大会」を湖西運動公園で26日に開く。
1976年8月、佐吉翁の精神を引き継ぎ、創造力豊かな子どもを育成しようと設立。全国でも6番目に長い歴史を持つという。現在、小学3~6年対象の小学生コースと中学生コースがある。小学生コースは学年ごとに分かれて紙・木工作や電子工作などに取り組む。中学生コースは競技会への出場を目標に置き、基礎知識を学んだ後、組み立てブロック「レゴ」などのロボットを使ったプログラミングを学びアイデアを形にする力を養う。
活動拠点はデンソー湖西製作所のコミュニティーハウス「ココハ」と湖西地域職業訓練センター。準備やサポートを含めて対応する指導員をはじめ、湖西市内にある企業の協力を得てクラブ員は学びや体験を重ねている。
クラブ員はここ数年、増加傾向にある。新型コロナウイルス禍で、対象学年の絞り込みや抽選で対応したケースもあったものの、2015年度からの10年間でみると、小学生は15~16年度の59人が80人台となり23年度には100人に達した。22年度に中学生コースを設けたことから中学生を含めたクラブ員は23年度が117人、24年度が118人になった。
クラブ員が記載する振り返りシートを通じた意見を踏まえて指導員が内容をブラッシュアップ、地元企業に講座を提供する機会を設けるなど工夫を凝らす。中学生コースではロボットの国際的なコンテスト「ワールド・ロボット・オリンピアード」や「全国少年少女チャレンジ創造コンテスト」の全国大会への出場を果たす活躍をみせる。
クラブの年間行事のひとつとして長年続く「親子たこあげ大会」はクラブ員にとどまらず広く参加者を募った。対象者も年少から小学6年まで幅広い。今回は100人近くの子どもとその保護者が参加する予定で当日、会場では指導員の助言を受けて完成させたたこを揚げる。脱炭素社会に向けた研究を進めるトヨタ自動車の「マザーシップグループ」によるカイト飛行の実演も計画しているという。
クラブの中村哲也会長は「AI(人口知能)やロボットに関する技術が進む時代を生きるためには一層、強みが必要になるはず。モノづくりを通じて創造力を養い、地元企業で活躍する人材の育成につながってほしい」と期待を込める。
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