豊川市は、東三河5市の中で人口減少率が最も低い。転入者が転出者より多い社会増を達成しているためで、背景には外国人に選ばれていることがある。
前回の国勢調査があった2020年から24年まで、豊川市の人口増減率はマイナス0・46%だった。豊橋市はマイナス2・45%、蒲郡市はマイナス2・64%、新城市はマイナス6・54%、田原市はマイナス4・56%で、豊川市は他自治体よりも2~6ポイント低い。
20年からの4年間では、4年連続で社会増を実現したのは豊川市のみ。21年は404人、22年は448人、23年は790人、24年は423人増えた。23年は名古屋市を除く県内自治体で1位だった。「イオンモール豊川」のオープンが影響しているとみられる。
蒲郡市は同期間で3回増えた。豊橋は1回だけ増減ゼロであとは減った。新城、田原は減少が続いた。一方で生まれた人から亡くなった人を示す自然増減は、5市とも4年連続で減少した。
24年9月末現在の外国人人口は、豊川市は前年同期比558人増。豊橋市は874人、蒲郡市は172人、新城市は84人、田原市は235人と、どの自治体でも増えたが、豊川は総人口比で外国人の転入者が多い。日本人だけをみると自然減や転出超になり、どの自治体も減っているのが現状だが、減少率を抑えているのが外国人という構図になっている。
豊川市に外国人が増えているのは、働く場所が多いからとみられる。それらは中小零細の製造業で、同市に多い。中小零細企業の工場では、外国人が活躍している。社長を含めて10人以下のある部品メーカーは、社長と息子以外は皆外国人だ。
それなりの規模の企業でも外国人は大切な戦力になっている。御津町の「縣鉄工所」の本社工場では、事務所のスタッフも含めて従業員140人のうち8人が外国人でベトナムからの技能実習生だ。さらに工場内で働く下請け企業には、10人を超える外国人がいる。
同社は建物の鉄骨を加工しており、溶接などの仕事がある。夏は気温が40度になる工場内で、火を使う。厳しい環境での仕事で、外国人は欠かせない。
他にも豊川市は土地が比較的安く店などが多くて便利なことや、電車の駅が19あり公共交通機関が利用しやすい、戦後から区画整理事業を継続しており購入できる土地があることなども、人口減少幅を低くしている要因となっている。
市では国道23号名豊道路の開通後、県企業庁と協力して白鳥地区や為当地区に新たな工業用地を造成する計画を立てており、今後も働く場所を確保し、人口減少を少しでも緩やかにしていきたいとしている。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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