2025年度まで存続が決まっている名古屋鉄道の西尾・蒲郡線(西蒲線)について、蒲郡、西尾の両市などでつくる対策協議会は19日、西尾市役所で臨時総会を開いた。26年度の運行は現在の支援を継続するが、27年度からは国の交付金を活用し、吉良吉田-蒲郡の蒲郡線を「みなし上下分離方式」=ことば=導入で存続させることを決めた。
西蒲線は西尾-蒲郡間の計27・3㌔。西尾、蒲郡の両市は10年度から、名鉄に毎年計2億5000万円(蒲郡9931万円、西尾1億5068万円)の財政支援をしている。
利用者は11~19年度が約300万人だったが、20年度は新型コロナウイルス禍で259万5000人に減少した。現在は、コロナ禍より回復傾向にあるが、コロナ前には戻っておらず、厳しい状況が続いている。
23年には名鉄が両市に対し、利用者がコロナ禍前に戻らない▽物価上昇による経費増加▽老朽化した設備の更新-の理由から、現在の支援方式での運行が難しいと伝えた。
24年1月から両市と名鉄などは存続に向けた勉強会を始めた。同2月には国の社会資本整備総合交付金(地域公共交通再生構築事業)を受けるのに必要な事業構造の変更を協議する検討会を立ち上げた。路線バス転換や第3セクター化などを検討し、市民対象のニーズ調査に取り組んだ。
その結果、事業構造の変更に要する期間が最も短い▽自治体が第3種鉄道事業者となる公有民営型上下分離方式に比べ、移行がスムーズ▽各種手続きが簡便▽事業構造の変更にかかる経費が抑えられる-として、みなし上下分離方式を最適だとした。輸送密度が多い西尾-吉良吉田の西尾線より、4000人未満と少ない蒲郡線の導入が現実的となった。
期間は27年4月から15年間。維持管理や設備投資などで年間4億~4億5000万円がかかるとし、負担は両市と県、名鉄が協議して今後決定する。蒲郡線の駅数と距離などからすると、おおむね5割ずつが両市の負担になるとされる。
総会後、両市長が臨時記者会見した。蒲郡市の鈴木寿明市長は「沿線地域の発展を支える貴重な財産。これまで以上に鉄道運行に深く関わっていく」と述べた。
運行部分(上)と施設部分(下)の主体に完全には分離しないものの、鉄道施設などの保有経費相当分を地方公共団体が負担することで、実質的に上下分離した場合と同様の効果を実現しようとする運営。特に地方公共団体では第3種鉄道事業の許可を得る負担を考慮し、「みなし上下分離」が検討されることがある。地方公共団体がカバーする範囲を鉄道施設などの管理に限定することで事業者の経営改善努力のインセンティブを失わせない仕組みとなっている。全国では群馬県の上毛電気鉄道や島根県の一畑電車が採用している。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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