コンサルタント会社「ビジネスリンク」社長の西川幸孝さんが「だから報連相は、うまくいかない。」を出版した。副題は「個が育ち『決める力』を持つ集団のつくり方」。
長年のコンサルティングの経験から「標準化が遅れている職場ほど、報連相が求められる」と感じていた。「報連相」は「報告、連絡、相談」で「職場における円滑なコミュニケーションを実現するための手法」などとある。
だが、西川さんは「報連相は、それを求める上司によって内容や範囲、タイミングが違う。期待に応えようとすると忖度(そんたく)が生まれる。これに依存したマネジメントは業務標準化の妨げになり、意思決定がスピードを欠き、組織の硬直化をもたらす」と喝破した。
著書は冒頭で、2024年1月2日の羽田空港地上衝突事故を取り上げる。乗客乗員379人全員がわずか11分で機体から脱出した。
比較されるのが東日本大震災の宮城県石巻市立大川小学校の悲劇だ。どうすべきかの意思決定が遅れ、地震発生から50分後に襲ってきた津波に教員と児童がのみ込まれ、児童78人中70人が死亡、4人が行方不明になった。教職員は11人中10人が死亡した。「教職員が地元の人に『報連相』をして、意思決定を相手に委ねてしまった。時間を浪費せずに意思決定すれば避難できた可能性が高い」と指摘した。
そして第4章では「情動に働きかけるマネジメント」と題し、従業員が「生き生きと働く職場として「物語コーポレーション」「クックマート」のマネジメントを紹介する。
最後に「意思決定力を強化するための取り組みを行い、人間の本性に合致した組織づくりやコミュニケーション施策、さらには事業・業務の標準化を進めることで、発展への好循環を実現できる可能性がある」とアドバイスした。
日経BP、日本経済新聞出版刊発行、四六判248㌻。税込み2200円。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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