田原市中山町の農業用水受益者らでつくる「中山開拓農協」は、エリア内の灌漑(かんがい)施設をデジタル地図上に登録した「畑かんGO」の運用を始めた。各畑地の給水栓へ通じる用水施設の位置情報を組合役員で共有することで、水管破裂など故障時には近場から制水作業にも参加できる。
中山開拓農協が管理する畑地は南北3・6㌔、東西1・6㌔。一定農地ごとに蛇口を設けた給水栓は1341カ所、近隣エリアごとに通水を管理する制水弁は145カ所ある。これまで灌漑施設情報は紙版のエリア地図で管理していた。水管破損など異常時には、用水管理者がこの情報を基に制水弁を操作して止水作業をしていた。
制水弁は通常、給水栓が集まるエリアごとに通水を制御する。一定数が集積するエリアに設けられるが、中には通水ルートと離れた「飛び地」のような場所にあることも少なくない。
用水管理者の赤佐真治さん(66)によると「普段から見慣れた給水弁とは違い、制水弁は操作経験者も限られる。通水ルートから想像できない場所にある場合、配置を知っている特定の人しか分からない」と説明した。
情報管理の属人化を避けようと、2021年度に組合長を務めた古川幸宏さん(65)がグーグルマップの位置情報システムを使ったマップを作った。制水弁を締めるための道具を保管する場所も反映させ、昨夏にポイントを精査して今年2月から本格運用を始めた。組合役員のみにアドレスを公開している。
古川さんは「用水施設の故障対応などは管理者任せだった。スマートフォンですぐ場所が特定できる。緊急時の速やかな対応が可能になる」と期待する。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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