ロシア極東カムチャツカ半島沖で7月30日発生した大地震に伴い、太平洋沿岸などに浸水想定区域がある田原市でも多くの住民が近隣の公共施設へ避難した。学校体育館を中心に空調がない中での避難だった。市も整備を急ぐ中、改めて真夏の避難所運営で課題が浮き彫りとなった。
渥美半島の先端に近い同市堀切町は、南海トラフ地震で最大22㍍の津波被害が想定される。東日本大震災で津波被害に注目が集まった。地域や小学校で年数回の避難訓練があり、住民らの防災意識が染みついている。
一方、指定避難所の市渥美運動公園は体育館やロビーの空調が未整備だ。避難者が待機したロビーでは隣接する会議室を開放し、室内空調とスポットクーラーで暑さをしのいだ。
市内の災害避難所は水害時が20カ所ある校区市民館、地震時は15小学校と4中学校を指定している。小中学校の体育館などのうち、空調を完備するのは昨年度完成した市立童浦小学校の体育館だけだ。
市は2025年度予算で、東部、赤羽根、福江の3中学校と福江小学校で武道館を含む体育施設の空調整備費6億4472万円(契約額)を計上している。来年度は田原中学校にも導入する。
一方、渥美運動公園の体育館は予算要望はしているが、整備のめどは立っていない。半面利用など複雑な使用形態に、空調負担をどう上乗せするかなど運用面に課題が残るという。補助金の利用にも前提としてエネルギー効率化が必要だ。断熱工事や屋根補修の負担増が障壁となり、担当者の頭を悩ませている。
堀切校区コミュニティ協議会の高瀬善孝会長(69)は「午前は公園内で部活動をしていた中学生らも避難したのでロビーや会議室では収まりそうもなかった。地震や津波で建物被害となれば広い体育館で寝泊まりするだろう。避難所となる体育館に冷暖房は欠かせない」と話した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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