豊橋市の多米地区の女性3人が、朝市を同市多米町の赤岩寺で10日午前8時から開く。名付けて「ぶらり多米市」で今回が8回目。背景には、お年寄りの孤独解消や認知症対策があった。
「ぶらり多米市」は昨年12月に、多米公民館で第1回を開いた。会場の都合で7~8回が赤岩寺になった。
企画は炭焼き団子「laugh(ラフ)」を経営する采女千春さん、看護師資格を持ち、スナック経営者の大木裕子さん、元教師で子どもたちの「寺子屋」を運営する榎本このみさん。生まれも育ちも違う3人は多米の魅力を「自然が豊かで、それでいて不便もない。歴史もある」と絶賛する。
采女さんは以前、認知症の叔母の介護に直面し、自身の対応が適切だったか疑問を抱いていた。また、父も入院中に「せん妄」という認知症に似た症状を経験し、不安を感じたという。団子店では会話に違和感のある高齢者との出会いもあり、認知症への理解を深める必要性を感じた。そこで、大木さん、榎本さんに声を掛け「認知症サポーター養成講座」の受講を提案した。
この話し合いの中で「介護」「人と人との対話の重要性」といった話題が広がり、かつて地域にあった「朝市」の開催がアイデアとして浮上した。朝市は、集まるのが苦手な人も散歩がてらに様子を見に来るだけでも良いという考えだ。
家庭菜園の野菜、中国茶、ベーグル、氷菓など、さまざまな物が買える。回を重ねるごとに、楽しみにしている人も増えた。
大木さんは健康相談ブースを開く。無料で10分間だが、多くはそれに収まらない。相談するのは高齢女性だ。「押し付けがましくないように、ほどほどの距離感」で対応する。朝市に来るのは女性が多い。「男性も引っ張り出したい。妻についてくる形でいいから」と話す。
課題は周知方法。野菜を出品してもらおうと家庭菜園でチラシを配るなどしているが、「売るほどの野菜ではないから」と断る人が少なくない。「気軽に来てほしい」と3人は言う。
今後、仲間で「認知症サポーター養成講座」を開ける「キャラバン・メイト」の資格を取り、当初の目標であった認知症サポーター養成講座を開こうとしている。秋冬の開講が目標で、多米公民館が会場になる。そして「朝市もずっと続けていきたい」と3人は話す。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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