「フードオアシスあつみ」などの食品スーパーを展開する「渥美フーズ」(田原市福江町)は、豊橋市小松原町の自社農場「オアシスファーム」で飼育する自社ブランド和牛「渥美半島短角牛」3頭を10月に初出荷する。併せて、来春に計画する農場拡張費を賄うため、クラウドファンディグ(CF)のサイト「キャンプファイヤー」で20日から資金を募る。
同社は事業を通じて循環型農業を目指し、2021年から小松原町に農場を開設した。近隣の耕作放棄地を活用し、取引先で生じる食品残渣(ざんさ)や自社店舗で出た野菜くずを餌に利用するなどエコサークルの形成を目指している。
北海道十勝地方から昨年4月に仕入れた日本短角種を農場内の牧場で放し飼いしている。
自生する野草や牧草を主な飼料とし、輸入穀物を一切使わない独自の「あつみ式放牧」で約1年半かけて育てた。通年放牧は国内でも珍しい。現在は約8㌶の牧場で7頭を飼育している。
黒毛和牛のような「霜降り」と呼ばれる脂身のサシは少なく、よく締まった肉質とうまみが特徴だ。渥美半島の温暖な気候や、市街地に近い立地を生かして消費者に広めたい考えだ。
一方、国内の和牛市場は「霜降り」を重視する傾向が強い。健康志向の食習慣や、放牧の背景にある「ストーリー」から消費につなげられるかを見極めるため、CFでテストマーケティングも試みるという。
同社によると、今回のCFで200万円の調達を目指す。来春の設備投資では牧場の拡張に伴う管理用の電気ボックスや防疫作業などを行うパドックの追加設置費などに充てる。牧場も新たに2区画を加えた約10㌶へ拡張するという。出荷後は2~3頭の追加導入も検討するという。
CFは10月20日まで。同社の川崎隆史エコサークル推進室長は「肉質や食味など消費者の反応が手探りの状況だ。循環型農業を通じ耕作放棄地を解消する挑戦的な取り組み。これらを支持する消費者の開拓などを探りたい」と説明した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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