田原市伊良湖町で使われなくなったガソリンスタンドをカフェに改装する工事が始まった。これに伴い、同市高松町出身の渡辺心菜さん(20)を中心に、大阪芸術大学の学生らが手掛ける巨大な壁画アート制作が進行中だ。伊良湖港を見下ろせる眺望が売り物のカフェに、学生のアート作品が新たな名物として加わる。渡辺さんは「壁画で田原のよさを伝えたい」と意気込んだ。
壁画アートのある「cafe SUBMARINE(カフェ・サブマリン)」は、国道259号沿いのガソリンスタンド跡で11月末のオープンを目指す。約1000平方㍍の敷地に鉄骨造一部2階建ての建物をカフェとして改装する。外壁アートは駐車場がある敷地南側の外壁に描かれている。
渡辺さんは短期大学部デザイン美術科で油絵を専攻する。同じコースで学ぶ学生ら5人と5日前から伊良湖に泊まり込み、昼の暑さを避けながらはけを手に連日、コンクリートの巨大な壁に向かって描き続ける。
店名と渥美の海のすばらしさを作品のテーマに掲げた。壁面(幅26㍍、高さ2・2㍍)には店名にちなんで黄色い潜水艦を中央に配置。エイやスナメリなどの海洋生物が出迎え、乗り込んだ子どもたちが海底を冒険する様子を表している。
渡辺さんは「こんなに大きな画材に描く機会はめったにない。毎朝が待ち遠しいほど楽しい5日間だった」という。サーフィンやトライアスロンを趣味とする両親の影響で、伊良湖の海は身近な場所だった。カフェ開店について「壁画を通じ、観光客に伊良湖の海やまちの魅力が伝わればうれしい」と話した。
カフェオーナーの竹中章裕さんによると、当初は豊橋駅前の出店を考えていた。近隣で1棟貸しの宿泊施設「THE CAPE(ザ・ケープ)」を営む加藤雅彦さんから、伊良湖地区に観光客向けのカフェが少ないことなど、出店のメリットを説かれた。
竹中さんは「夕陽が沈む様子やフェリーが見える絶景が気に入った。学生の壁画アートと合わせて映えるスポットにしたい」と期待する。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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