江戸時代が起源の田原凧(たこ)の一つで、子どもの初節句に贈る「初凧」の製作が田原市内で最盛期を迎えた。高齢化で作り手が減る中、田原凧保存会が長年取り組んだ後継者育成が実りつつあるという。新たな作り手の顔ぶれも主婦や海外に出自を持つ県外からの移住者など多様化している。
初凧の風習は江戸時代が起源で、男児の1歳の節句を祝う行事として定着した。最近は市内の祖父母が県外や市外で暮らす孫のために注文するケースが増えた。完成した凧は5月の「田原凧まつり」で購入した家族に引き渡す。
作り手は本体を組み立てる「凧師」と、絵柄を担当する「絵師」の分業制で約2週間かけて1枚を完成させる。
本体づくりは最上部に竹とひもを取り付け、骨組みを固定する糸目や「ほうら」と呼ばれる反りを保って和紙を貼り合わせる。
絵師は張り合わせた和紙に武者絵や歌舞伎役者などを描く。本体を組み立てる際、事前に下絵を入れた和紙を貼り合わせる。組み上がった凧の下絵に色付けと子どもの名を入れれば完成だ。
パキスタン人の父を持ち、木工作家やコンサルティング事業を手掛ける和栗レオジブランさん(37)は、保存会の知人を通じて2年前から凧師として製作に取り組んでいる。夏から秋は小中学生向けの凧揚げグループでも活動する。
本格的に初凧づくりを手掛け「できた初凧に喜ぶ家族の笑顔を早く見たい。本体を組み立てる途中で絵師が下絵を入れることもある。分業だが共同作業の要素もあって楽しい」と述べた。
絵師の小山田美奈江さん(45)は3年前、小学生の長男が参加した凧づくり教室がきっかけで入門した。
「家族の記念となる凧なので、絵の具のにじみなど失敗できない。和服の細かな模様を描く工程では時間を忘れるほど没頭できる」と凧づくりの魅力を語った。
2人の作品を含む今年の初凧は、注文者の承諾を得て14日から市博物館で始まる「ひな人形と初凧展」で展示される。
後継者不足は十数年来の課題だった。現在は凧師10人、絵師は8人まで増えた。保存会の原田強会長(77)は「さらに後継者を育てたい」と意気込む。
購読残数: / 本
愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
週間ランキング
日付で探す