東三河地域で自動車盗難が急増している。特にトヨタの「ランドクルーザー」を狙った犯行が相次ぎ、豊橋署管内では今年1~8月末で24件の被害が発生した。前年同期の3倍。同署によると、三河地区全体でも同57・3%増と高い伸びを記録しており、関係者は危機感を強めている。
「返してほしい。憤りを覚える」。今月10日深夜、豊橋市内の自宅駐車場から愛車を盗まれた建設会社「藤城建設」の藤城匡昭社長(37)は、悔しさをにじませた。盗まれたのは「ランドクルーザー300 ZX」。2023年7月に約800万円で購入した新車。「子どもの七五三や卒園式、家族旅行などで活躍してくれた。家族のような存在だ」と振り返る。
犯行は10日午前0時45分から55分頃に発生。自宅前の防犯カメラには2人組が侵入し、車に乗って走り去る様子が記録されていた。盗まれているのに気づいたのは午前6時頃。「大通り沿いで被害に遭うとは思っていなかった」と驚きを隠せない。
なぜランドクルーザーが狙われるのか。豊橋署生活安全課の中川元宏課長は「世界的に人気で高値で売られることが多い」と分析する。
近年は「CANインベーダー」と呼ばれる機器での犯行が目立つという。今回の犯行も使われたと推測される。車両の通信システムに不正アクセスし、ドアロックの解錠やエンジン始動を可能にする。従来は機器を接続する配線が細工しやすい場所にあったが、最新車種ではさまざまな対策が取られている。そのため、近年は車体に穴を開けて配線に接続する手口もみられる。
別の関係者によると通称「ゲームボーイ」と呼ばれる新たな機器も登場しているという。ドアノブを引いた際に車が発する信号を元に、その場でスペアキーを作れる装置で、従来システムでは対応が困難とされる。
今月中旬には同署と愛知トヨタ豊橋下地店が店内に防犯ブースを設置し、客に盗難防止を呼び掛けた。防止策は、ハンドルロックやタイヤロックが効果的だ。車庫の利用なども推奨される。侵入や不正なエンジン始動を検知してアラームを鳴らすカーセキュリティーシステムもある。最新のイモビライザー(電子式盗難防止装置)は暗号化技術により不正なコピーやハッキングが難しい。車載GPSによる追跡システムも盗難後の発見に役立つという。中川課長は「複数の防犯対策を組み合わせてほしい」と呼び掛けている。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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