豊橋市保健所長インタビュー 「あいくる」開設を前に 命の大切さを伝えていきたい

2025/10/01 00:00(公開)
取材に応じる新井所長=ほいっぷで

 豊橋市動物愛護センター「あいくる」が10月1日にオープンする。同13日には「あいくる」と市保健所・保健センター「ほいっぷ」で記念イベントが開かれる。新井哲也所長に話を聞いた。【山田一晶】 

 

 ―「あいくる」がオープンします。思いを教えてください。 

 ◆動物愛護行政を進めていくうえで、こうして新しい施設ができたことにより、不妊・去勢手術や譲渡会などを行うことができるようになりました。今後も、豊橋市獣医師会の先生たちともよく連携しながらやっていきたいです。私があいくるで行っていく取り組みの中で特に重要だと考えているのは、皆さんに命の大切さについて考えてもらう機会を作る、ということです。あいくるで保護している動物たちを通して、次世代を担う小学生や中学生たちに、命の大切さを伝えていきたい。そうすることによって、子どもたちに豊橋市の未来をつくってもらいたいと考えています。譲渡会などで伝えられることもありますが、学校関係者の皆さんに協力をいただきながら、教育の一環として、あいくるから発信していきたいですね。 保健所は保健や医療分野を担う行政機関です。あいくるの開所は、市として未来をどうしていくのか、保健所として何をすべきなのかを考えるいい機会だと思います。 

 中身も充実していかなければなりません。その大きな機軸は、多くの市民に命の大切さを理解していただくことです。そのためにも、子どもたちに伝えてくということが一番重要であると考えています。 

 

 ―猫の不妊・去勢手術は、数値的な目標がありますか。

 ◆現状猫の不妊・去勢手術は、地域猫活動を行う団体に補助金を活用していただき、実際の手術は、獣医師会の先生方に行っていただいております。まずは、この補助金に加えて、あいくるでどれだけ手術を行っていくかということになります。ゼロからのスタートとなりますので、技術的な面や受け入れ態勢も含め、よく話し合いながら検討を進めていきます。

 

 ―地域猫活動や啓発にはボランティア団体が重要です。どのように考えますか。 

 ◆ボランティアの方々もさまざまな考えをお持ちなので、そのお話を聞きながら方向性を決めていく必要があります。あいくるを運営していくにあたり、力をお借りしなければならないと考えています。

 

 ―特に豊橋市内の飼い主のいない猫をどう思いますか。

 ◆たくさんいると思います。ボランティア団体の皆さまが活動していただいているのは承知してます。保健所長としては、やはり子どもたちにこのことについて伝えてくことがとても重要だと思います。子どもたちが得た知識を、家族や友達に伝える。その発信力はとても大きいと思います。すぐに結果は出ないかもしれません。急に飼い主のいない猫が減ることはありません。豊橋の未来を考えたときに、やはり命の大切さを含め、きちんと伝えていかなければならないと思います。

 

 ―ペット防災が取り上げられるようになりました。

 ◆避難所には、動物が苦手という人がどうしても一定数います。その中で、共同生活を送らなければなりません。そのためには、飼い主がしつけや訓練、物品も含め一定の準備をしていただく必要があります。動物を飼ってない人にも理解していただけるよう、講習会などを通じて伝えていけたらと思います。避難は動物にとってもストレスになります。そこで事前に、それぞれの飼い主が起きうることを想定し、準備してもらうのがよいと思います。

 

 ―読者にメッセージを。

 ◆あいくるに入るとオープンスペースがあります。入ってすぐ右側に「キャットルームMilk」があって猫たちがいます。一方で、保護された譲渡の前の猫や、負傷猫もいます。この点が、街中のペットショップとは異なる点です。実際に犬猫を見ていただき、何かを感じていただくことが一番の啓発になると思います。「命」を考えるきっかけにしてほしいです。 

 

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山田一晶

1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。

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