豊川市にある「陸上自衛隊豊川駐屯地」は、今年で創立75周年を迎えた。これまで「地域とともにある駐屯地」として、隊員が市内のイベントなどに参加するなど、コミュニケーションを一貫して大切にしてきた。駐屯地の歴史をはじめ、安全保障環境、激甚化する災害への対応、地域交流の取り組みなどを紹介する。
１９５０年12月、旧豊川海軍工廠跡地の一角に警察予備隊の駐屯地として創設された。54年７月、「陸上自衛隊豊川駐屯地」となって以降、災害派遣をはじめ、カンボジアやゴラン高原などの国際平和協力活動への参加など、時代の安全保障環境に適応するため、部隊の新編や改編を重ね、今に至る。
現在、約１４００人の隊員が勤務。主な部隊として、大型ドーザーなどの施設器材を持ち、群長が駐屯地司令を兼任する「第６施設群」をはじめ、軽装甲機動車などを装備する「第49普通科連隊」、１５５㍉榴弾砲（ＦＨ70）を装備し火力戦闘を行う「中部方面特科連隊第２大隊」、短距離地対空誘導弾（短ＳＡＭ）などで対空戦闘を担う「第10高射特科大隊」などの部隊が所在する。
昨年、防衛力整備計画による再編の一環で、偵察と戦闘力を兼ね備えた「第10偵察戦闘大隊」が新編された。東海北陸６県で唯一、「16式機動戦闘車（ＭＣＶ）」が配備された。多くの人から注目を集め、新たな駐屯地の顔となっている。
訓練は、あらゆる防衛任務に即応できるよう、射撃や格闘、第一線救護などの隊員個々の職務遂行能力と、各部隊の任務遂行に必要な練度を向上させるため、市内の千両演習場と日吉原演習場、豊橋市の高山射場で技術を磨いている。
大規模な演習では、北海道から九州まで赴く。今年はオーストラリアであった日米豪共同訓練に特科大隊が参加し、広大な演習場で１５５㍉榴弾砲（ＦＨ70）の射撃訓練に励んだ。
災害派遣は、伊勢湾台風や東海豪雨、東日本大震災、能登半島地震などの現場に赴き、活動してきた。東三河では、２０２２年に起きた豊橋市の鳥インフルエンザ対応や、昨年８月に蒲郡市で発生した土砂災害など各種事態に対応した。日夜、有事に備えた訓練にまい進する中で、迅速かつ的確な災害派遣に対応できる知識や技能も積み上げている。
「地域とともにある駐屯地」を体現する地域交流として、３月の春まつりと11月の創立記念行事の際、駐屯地を開放し、自衛隊車両の展示や資料館見学を通して市民との交流を図っている。
このほか、地元企業や地域の人と一緒に、盆踊りや花火を楽しむ「納涼夏まつり」や、小学生にキャンプで使えるロープワークやボルダリング体験ができるイベントも企画している。
駐屯地の和太鼓部が市内の商業施設で演奏したり、三河地域を空から確認したい防災関係者向けの航空機体験搭乗などを開いたりしてきたほか、企業や団体の隊内生活体験や駐屯地見学の受け入れ、要望に応じて隊員が防災知識に関する講話もしている。
さらに、広報活動に力を入れた。ＳＮＳで駐屯地の食堂で提供されるメニューや交流活動、訓練風景を投稿している。地域貢献に積極的に取り組むとともに、自衛隊と駐屯地への認識、理解を深めてもらえるよう努力している。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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