創立75年を迎えた「陸上自衛隊豊川駐屯地」の第42代司令で第6施設群長の林豊さん(46)に、今後の駐屯地の姿などを聞いた。
-創立75年を迎えたことについてどう思いますか。
◆1950年12月に開設されて以来、駐屯地が任務を遂行しつつ充実発展してきました。地域の理解と協力に深く感謝しています。
国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、グローバルな安全保障環境と課題が、特にインド太平洋地域で際立っています。ドローンなどの科学技術の軍事利用の進展も目覚ましいですが、あらゆる事態に即応し任務を完遂し得るよう日夜、教育訓練に励むとともに、「地域とともに」という諸先輩の思いを受け継いでいきます。
-司令が思う豊川駐屯地の良さと強みは。
◆開設以来、地域の人々との関係が深く、現在もその関係は脈々と継承されており、陸上自衛隊(豊川駐屯地)に対しても深い理解と信頼を得ているところです。平素より豊川駐屯地及び所在する各部隊に対する、深い理解は大きな強みです。
隊員の激励をはじめ、各種行事への支援や協力のおかげで、豊川市内での教育訓練を円滑に実施できることに感謝しています。
-歴代司令が引き継ぐ「地域とともにある駐屯地」への取り組みについて教えてください。
◆地域の理解と信頼を得るように、皆さまの安全、安心を確保すべく、自治体と関係部外機関と密接に連携し、各種会議や防災訓練などに参加し、部隊の訓練に励んでいます。また、豊川市と「豊川市民まつり」などで協力し、引き続き、地元に溶け込んだ駐屯地を目指しています。
-司令が思う東三河の特徴と良さは。
◆山に囲まれ、河川も多くあり、気候も落ち着いて温暖な地域で農産品などもよく育って、非常にいい地域だと思っています。
-東三河で災害が起きた際の課題は何ですか。
◆今後、高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震の被害想定では、建物の倒壊、土砂崩れ、火災、津波などによる道路の寸断、ライフラインの途絶などが予想されます。
防衛省・自衛隊は、政府一丸となって災害対策本部長の指揮のもと、陸海空の自衛隊の総力を結集し、人命救助、生活支援にあたります。駐屯地所在部隊も、地元部隊として全力で与えられた任務を遂行するとともに、全国から派遣される部隊を受け入れ、その活動を支えることが必要です。
-自治体とは、どのように協力していきますか。
◆平素から自治体の防災会議などに参加し、訓練を繰り返し、発生時の対応の実効性を向上させること、日頃から顔の見える関係を構築していくことが重要です。今年1月、陸上自衛隊は能登地震の教訓を踏まえ、南海トラフ地震を想定し、孤立地域における発災直後の初動対処を焦点とした訓練「南海レスキュー訓練」をしました。これらの訓練により、陸海空が連携した災害対処能力を向上させていきます。
-最後に、これからの豊川駐屯地があるべき姿を教えてください。
◆自衛隊に与えられた使命の重さと国民の皆さまの高い期待を肝に銘じ、あらゆる事態に即応し任務を完遂する誇り高い隊員を育て、地域とともにある豊川駐屯地の歴史と伝統を継承していくことが重要です。
-ありがとうございました。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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