徘徊時に高齢者を守り救う 東三河広域連合がGPS端末とQRシール普及へ費用一部を助成

2025/12/12 00:00(公開)
GPS端末を使ったくつとシールを紹介する長坂さんと橘副署長㊧=豊橋署で
GPS端末を使ったくつとシールを紹介する長坂さんと橘副署長㊧=豊橋署で

 認知症の人らが徘徊(はいかい)した際にすぐに居場所が分かるようにしようと、東三河広域連合は小型GPS端末を利用した位置検索サービスにかかる費用の一部を助成している。また、衣類などに貼るQRコード付き見守りシールの活用も広まっている。

 

 高齢化が進むなか、認知症による行方不明者が全国で後を絶たない。徘徊から数日たっても見つからず、亡くなってから発見される人もいる。豊橋署管内で今年1月から11月までに迷い人として325人を保護した。橘英樹副署長は「気温が低下する冬場を迎え、保護の遅れが高齢者の命に関わる事態になりかねない」と指摘する。

 

 GPS端末やQRコード付きシールなどを使った認知症の高齢者に対する各市の支援はまちまちだ。新城市は2022年に東三河初のQRコード付きの「見守り安心シール」を使った高齢者見守り活動を始めた。同年には田原市、翌年には蒲郡市で個人向けの交付を始めた。豊川市は高齢者の名前や緊急連絡先をIDに紐づけ登録する「いなりんお守り」を導入している。一方、豊橋市は行っていない。

 

 広域連合では数年前に認知症高齢者対象の補助事業を始めた。東三河8市町村に住んでおり、認知症で行方不明の恐れがある40歳以上が対象。GPSを使った位置検索サービスを購入、利用する場合、最大1人1万円の助成が出る。

 

 例えば、リハビリ靴専門メーカー「トレイル」(神戸市中央区)などが2014年に開発したGPS機器を内蔵できるシューズ「うららかGPSウォーク」が代表例。高齢者が履きやすいよう開発された靴の底に、約40㌘のGPS機器を取り付けて使う。家族はスマートフォンなどで本人の位置を把握できるほか、設定したエリアの外に出た際にメールで通知を受け取れる。靴本体は1万800円(税抜き)。GPS機器は3万円(同)。

 

 東京都新宿区の商社「鈴商」の見守りシール「おかえりQR」は、持ち物に付けたQRコードを発見者が読み取ると、現在地の連絡が家族などに行く仕組み。本人の衣類や持ち物、歩行器などに事前に貼って使う。シール12枚で1800円(同)。

 

 広域連合担当者の長坂裕子さんは「万が一の場合に備え、早期発見につながる制度の活用にお役立てください」と話した。橘副署長は「家族に行方不明者が出たら遠慮せずに通報してください」と話している。

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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