帝国データバンクの調査によると、国内のスタジアム・アリーナ運営主要50社の2024年度の売上高合計は3851億円に達した。新型コロナウイルス禍前の2019年度と比較して18・7%増と大幅な伸びを記録しており、スポーツ・エンターテインメント市場が力強い成長軌道に乗ったことを裏付けている。スタジアム・アリーナがもはや公共の「体育館」ではなく、地域の「稼ぐ力」を左右するインフラになったことを証明しているともいえる。
2019年度を100とした売上指数は、コロナ禍の20年度には65・3まで落ち込んだ。しかし23年度に107・1とコロナ前を上回り、24年度には118・7まで上昇している。
24年度の売上高の内訳は、スタジアム(25社)が2434億円、アリーナ(25社)が1417億円となっている。
この成長の背景には、大型音楽コンサートの本格再開に加え、ホスピタリティーエリアの拡充による来場者単価の上昇がある。
運営主体の構成を見ると、自治体から管理を委託される「指定管理者制度」が28社と全体の56・0%を占める主流となっている。そのほか、民間企業が14社、第三セクターが8社となっており、営業力やノウハウを持つ民間の役割が一段と重要性を増している。
この「アリーナ需要」の最大のリード役はバスケットボールBリーグだ。リーグの観客動員数は、20年度の129万人を底に、323万人(22年)、452万人(23年)と急増し、24年には過去最多の485万人に達した。
こうした集客力を背景に開発も活況を呈しており、25年には愛知の「IGアリーナ(愛知国際アリーナ)」をはじめ、東京、兵庫、香川などで新施設が相次いで開業した。
さらに、2026~27シーズンから始まる新区分「Bプレミア」では、アリーナの収容人数やホスピタリティー機能が参入の重要な要件となるため、各地で投資が加速している。
このうちIGアリーナは7月に名古屋城公園内に誕生した。最大収容人数1万7000人(立ち見含む)を誇る国内最大級のグローバルアリーナ。総工費約400億円を投じ、2026年に開催されるアジア大会・アジアパラ大会の主要会場としての役割も担う。
県と名古屋市が発表した最新の試算によれば、アジア大会全体の開催に伴う生産誘発額は、県内で1兆8177億円、全国では2兆6831億円に達すると推計されている。このうち直接的効果(大会運営や施設整備による需要増加額)は5131億円、レガシー効果(大会後の施設利用や観光促進による波及効果)が1兆1113億円と、全体の約7割を占める。IGアリーナは、この「レガシー効果」の心臓部といえる。年間を通じて国内外のアーティストのコンサートや国際的なスポーツ大会を誘致することで、中京圏に持続的な人流と消費を生み出すことが期待されている。
一方の豊橋市の新アリーナは、「三遠ネオフェニックス」のホームとなる。2024年11月の市長選で建設反対を掲げた長坂尚登氏の当選で計画が一時ストップし、今年7月の住民投票で建設賛成派が多数を占めたことで事業が再び動き出した。11カ月の工事中断の結果、開業は2年遅れの29年10月が見込まれる。
収容人数は5000人規模。Bリーグの公式戦や中規模コンサート、地域イベントなど、「地域密着・東三河の拠点」としての役割を担う。
また、IGアリーナで開催される世界的なスポーツ大会や著名なアーティストの公演を、豊橋新アリーナの大型ビジョンや次世代通信インフラを使ってリアルタイム配信する。名古屋まで行かなくても、東三河のファンが地元の高機能アリーナで観戦・鑑賞できる仕組みだ。名古屋(IGアリーナ)での本公演に合わせ、豊橋(新アリーナ)で関連イベントやプレイベント、あるいは中規模編成の公演を行うといった「愛知県内でのセット興行」の誘致を目指している。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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