【蒲郡】ふるさと納税予算が10億円激減|新体制で地場産業の魅力向上へ

2026/05/07 00:00(公開)
東三河5市の今年度と昨年度の予算ベース
東三河5市の今年度と昨年度の予算ベース

 蒲郡市のふるさと納税が転換期を迎えている。昨年度の当初予算約20億円に対し、今年度は10億円と大幅に減少する見込みだ。市は今年度から担当部署を財政課から商工業の振興を担う産業政策課に移管した。新体制の下、活性化に向けて取り組む担当者に、現状と今後の施策を聞いた。

 

 昨年度の東三河各市の当初予算ベースでは、豊橋市が8億1100万円、田原市が11億620万円、新城市が5000万円、豊川市が1000円、蒲郡が20億円だった。ただし、豊川市は寄付実績に応じて予算を補正する方式をとっているため、当初はこの額となっている。

 

 今年度は豊橋市が15億円(6億8900万円増)、田原市が14億9260万円(3億8640万円増)、新城市が8500万円(3500万円増)、豊川市が1億8000万円(1億7900万円増)と、いずれも増額となったが、蒲郡は10億円(10億円減)と東三河5市の中で唯一減少した。

 

 その理由について、市は今年3月の市議会予算審査特別委員会で鈴木貴晶市議の質問に対し、主力返礼品の一つ「特大むきエビ」の寄付減少が大きく影響していると回答した。

 

競合台頭でエビ激減も観光は伸長

 

 蒲郡市では「むきエビ」のほかに、現地決済型の「ふるさと応援納税」や「おせち」「ごま油」が主力の返礼品となっている。特に「むきエビ」は2021年度の導入直後から人気を博し、昨年度までは寄付全体の約6割を占めていた。

 

 しかし今年度、「むきエビ」は寄付全体の約3割強まで激減。産業政策課の担当者によると、近隣自治体の事業者が蒲郡の取り組みを研究し、よりお得感を打ち出した同様の品を展開したことで、寄付者が他市へ流出したことが主な要因と推察している。寄付件数は激減したものの、依然として同市の主力返礼品であることに変わりはない。

 

 一方で、温泉地かつ観光地である蒲郡の特性を生かした「ふるさと応援納税」は、約1億円規模まで成長している。市内の宿泊施設などで利用できることから、観光資源を生かした新たな寄付の形として定着しつつある。

 

 また、全体で約10億円の減収となる見通しだが、市民による他自治体への寄付額と、市外からの寄付額を差し引いた実質的な収支は、依然として黒字を維持しており、直ぐに赤字へ転落する状況ではないとした。

 

今年度から移管された産業政策課=蒲郡市役所で
今年度から移管された産業政策課=蒲郡市役所で

地域資源で「最強のふるさと納税」へ

 

 市は産業政策課へ移管したことで、事務的な対応にとどまらず、同課の強みである地場産業の振興や市内企業との連携を生かした体制の構築を進める。これまで実施していなかった蒲郡商工会議所との連携による事業者向けセミナーを開催し、新規事業者の掘り起こしや返礼品のさらなる魅力向上につなげる。

 

 さらに、市が推進する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」との連動も視野に入れたコーナーなどを展開し、新たな層を取り込む施策にも取り組むとしている。将来的には、ふるさと納税を通じた産業振興により、参画する市内企業がより多くの恩恵を受けられるようにしていく。

 

 産業政策課の担当者は「蒲郡には地場産業も観光資源もそろっており、ポテンシャルは非常に高い。官民が連携しながら、蒲郡に適したやり方などを研究し、『最強のふるさと納税』を目指していく」と決意を語った。

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林大二朗

 愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。

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