豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)と人間環境大学、長野アカモズ保全研究グループが絶滅危惧の渡り鳥「アカモズ」を対象に取り組んでいる「救護ふ卵」の技術に関する論文が、9月29日付で国際学術専門誌「Zoo Biology」にオンライン公開された。アカモズの卵による人工ふ化の成功を報告した世界初の研究成果だ。
アカモズはアジアに広く生息するが、日本のみで繁殖して東南アジアで越冬する渡り鳥。環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に選定され、種の保存法では国内希少野生動植物種に指定されている。本州の生息個体群は今年も個体数が大きく減少しており、極めて危機的な状況が続いている。野外で親鳥の抱卵が途絶えた放棄卵は、通常であればそのまま失われるため、保全活動の重要な課題となっていた。
研究グループは、生息地での継続的な観察と動物園の飼育技術を結び付け、放棄卵を救護して保全に生かす実践的な手順を開発・検証した。具体的には、大学や研究グループ、ボランティア、地域住民が連携して野外の巣を監視し、親鳥の抱卵が途絶えた卵を救護する。
第1段階として生息地付近の小型ふ卵器で救護した卵を一時的に管理した後、第2段階として設備の整った施設へ移送し、安定した条件下でふ卵を継続してふ化させる2段階の手法を採用した。2023~25年の3年間に長野県内の20巣から計83個の卵を救護し、41羽のふ化に成功した。発育が確認された73個の卵に対するふ化率は56・2%を記録した。
ふ化の成否に関わる条件を分析した結果、親鳥が抱卵を続けていた日数が長いほど、また抱卵中断中に野外で経験した最低気温が高いほど、ふ化率が高い傾向が認められた。また、動物園で比較した条件の中では、37・8度で1日1回5分間の冷卵を行う条件で最も高いふ化成功率が得られた。
人間環境大学環境科学部フィールド生態学科の岡久雄二講師や豊橋総合動植物公園の高見一利動植物園長、長野アカモズ保全研究グループの松宮裕秋代表らの共同チームが実施した。
生息地での巣の監視から救護、一時保温、動物園への移送、人工ふ化までの一連の整理され、大学や地域の保全関係者、動物園の連携によって生息域内保全を補完し、救護した卵を飼育個体群の確立や将来の野生復帰につなげる基盤となることが期待される。さらに研究グループは、今回確立した救護ふ卵技術が他の鳥類の保全へ広く応用されることにも期待を寄せている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。