衛星画像解析を活用した水道管漏水リスクデータ提供を手がける豊橋市小畷町の「ジャパン・トゥエンティワン(J21)」は、今年7月の熊本地震で最大震度6弱を観測し被災した熊本県御船町に対し、発災後に新たに取得した最新の衛星データを無償寄贈した。あわせて、あいおいニッセイ同和損害保険との協業で、大規模地震発生後の衛星解析費用を事前に保証する「災害補償オプションサービス」の提供を開始した。
御船町では2022年、24年に続き、今年6月に3回目となるJ21の衛星解析サービスを採用した。7月13日に解析用データを取得していたが、直後の同28日に地震が発生し約2700戸が断水した。地震による管路の損傷や新たな漏水の発生により、地震前のデータでは正確な状況把握が困難となったため、J21は全額負担して発災後のデータ再取得を提案した。町は断水解消後の9月23日に改めてデータを取得し、復旧支援へ活用している。
御船町水道係の松本新司係長は、有収率(料金収入につながる水量の割合)が「平時の約80%から70%未満へ低下した感覚がある。漏水の増加を懸念している」と述べ、データ活用による効率的な復旧に期待を寄せた。
J21は2024年の能登半島地震でも、被災した石川県の6市町に対し、衛星画像を基に水道管の漏水エリアを解析したデータを寄贈するなど、災害からの復興に貢献している。
システムは元々、老朽化が進む水道管からの漏水を検知するために開発された。人工衛星から発するマイクロ波を地下3㍍まで浸透させ、水質により異なる反射特性から水道管の漏水状況を検知するシステムだ。漏水は周囲の土砂を含んでいるため、水道水と区別できる。池などの水は地図情報で事前に除外できる。以前は職員が水道管に沿って歩いて確認作業をしていたが、システムを使えば効率的に漏水箇所を特定できるとして、国内の200以上の自治体などが採用している(昨年10月末現在)。
一方、J21はあいおいニッセイ同和損保との連携で、水道事業体向けの「災害補償オプションサービス」を新設した。2024年の能登半島地震での支援経験を踏まえ、発災後の予算措置を待たずに速やかな調査着手を可能とする仕組みを整備した。対象条件は震度6強以上または震度7から選択可能で、現在東北地方を中心に15自治体で導入が進んでいる。インフラ復旧支援における民間企業と損害保険会社の協業事例として注目を集めている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。