田原市の県立渥美農業高校で、農業科の3年生らがクロマツの盆栽を手入れする実習に取り組んでいる。余分な根を摘んだり、葉をそろえたりして大切に育てたクロマツは貫禄十分だ。完成した作品は学校文化祭や市の文化祭で展示される。
今年度の「総合実習」で環境専攻コースを選んだ15人が挑んだ。学校によると、野菜や果物と同じ植物の仕組みを学ぶ教材として初めて盆栽を活用した。
教材となる盆栽は市内の愛好家で、愛知海運産業会長の山田俊郎さん(81)の愛蔵品を借り受けた。山田さんと親交があり、販売や手入れ、教室運営などを手掛ける「大樹園」(岡崎市)の鈴木卓也さん(41)が実習講師を務めた。
授業は4月から月1回のペースで盆栽の手入れを進めてきた。5月に余分な根を取り除き、密になった葉の塊のボリュームを抑える「葉すかし」に取り組んだ。6月には余分な芽を落とし、針金を使って枝や幹の形状に変化を加えた。授業のない夏休み中も水やりなどの管理を欠かさず、今月の仕上げへとつなげた。
20日の授業では、上下左右に広がる葉の塊のバランスを整える仕上げに取り組んだ。下段の芽や葉を慎重に落とし、横一直線に整えて三角形の底辺をつくった。頂点へ向かって徐々に葉の量を絞ると、安定した緑の山形が整った。最後に油を含ませた布などで表面を磨き込んだ。
受講した河合琴美さんは「バランスを整えるため多くの葉を切る大胆さも必要だった。そんな時はどきどきしながらはさみを入れた。針金を使って幹を『く』の字に曲げたところがうまく仕上がってよかった」と自己評価した。
山田さんは市内でも有数の愛好家で知られ、自宅には60年前の作品など150鉢が並ぶ。「赤羽根地区など市内にはいいクロマツがある。潮風の影響か、幹のひび割れたような樹皮が年輪を感じさせる質感を与えてくれる。活用してもらえてうれしい」と喜んだ。
講師の鈴木さんは「最近は購入者や自社の盆栽教室の受講にも若者が増えている。学校での講義は初めてだが、愛着を込めて仕上げてくれた」と述べた。
作品は校内で31日開く「農高祭」のほか、30日開幕の田原市文化祭で展示する。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。