豊橋市は19日、地震、津波、風水害など大規模自然災害から市民の命を守り、被害を最小限に食い止めるための施策を推進する指針となる地域強靭(きょうじん)化計画の素案を検討会議に示した。計画案に同会議の意見を反映させ、来年2月頃にはパブリックコメントを実施、市民らから意見を求め、3月に作り終える予定だ。
3年前に定められた国土強靱化基本法に基づき、策定を開始。県が策定した計画を参考にしながら取り組んでいる。
市は土砂災害、異常渇水も想定するリスクに設定。学識経験者や関係行政機関、ライフライン事業者らによる検討会議を設けており、この日は市役所で3回目の会議を開いた。
素案によると、地域強靭化の基本目標に「市民の生命を最大限守る」「地域及び社会の重要な機能を維持する」「市民の財産及び公共施設、産業・経済活動に係る被害を最小化する」「迅速な復旧復興を可能とする」-の四つを掲げた。
41の起きてはならない最悪の事態「リスクシナリオ」を設定。それぞれについて、回避するための施策、目標値などを示した。このうち、事態が避けられなかった場合の基本目標に対する影響度などから、10の重点化するリスクシナリオも選定した。
「建物等の大規模倒壊や住宅密集地区における火災による多数の死傷者の発生」や「大規模津波・高潮による多数の死者の発生」「サプライチェーンの寸断等による企業の生産力低下」などを重点化。「医療施設及び関係者の絶対的不足・被災、支援ルートの途絶による医療機能の麻痺(まひ)」など、国が重点化していないリスクシナリオもある。
検討会議のメンバーからは、市役所庁舎が被災した場合に備えたバックアップ施設の検討について質問が出たほか、「液状化対策をもう少し盛り込むべきでは」などの意見が出た。
(中村晋也)