田原でヤシの実流しの対面交流式

2017/04/09 00:00(公開)
対面した2組の家族ら=伊良湖シーパーク&スパで
 渥美半島、伊良湖岬を舞台にした詩人・島崎藤村の叙情詩「椰子(やし)の実」を現代に再現するヤシの実投流行事の返還対面式が8日、田原市伊良湖町の伊良湖シーパーク&スパで行われた。
 行事は詩の一節に由来。応募した参加者らがヤシの実の持ち主となり、詩に登場する「遠き島」に見立てた沖縄県石垣島の沖合から、ヤシの実が伊良湖岬へたどり着くよう願いを込め、毎年投流している。
 式はヤシの実の持ち主と拾い主が対面し、ヤシの実が返される締めくくりの行事となっている。
 29回目を迎えた今回は、投流された91個のうち3個が千葉、神奈川両県の海岸に漂着した。
 この日、代表として選ばれた投流者の自営業・小林麻由美さん(52)=岡崎市=と、田原市の公務員・粕谷幸充さん(49)がそれぞれ拾い主と対面を果たした。5年連続の挑戦で、初めてヤシの実が拾われたという小林さんは「本当にびっくりしました。ちゃんと流れ着いて拾ってくれるんだと思いました」と5年越しの思いを話した。
 一方、ほとんど毎年参加しているという粕谷さんは、拾われたのがこれで2度目。「いつか、伊良湖の海岸に着くことを願っています」と期待を込めた。
 行事は旧渥美町時代から続いており、次回で30回の節目を迎える。主催する渥美半島観光ビューローによると、参加人数は例年よりも多く見込んでいるという。
 ヤシの実の投流総数は3209個、漂着数は127個。このうち渥美半島に流れ着いたのは4個という。
(千葉敬也)
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